中越パルプ工業と丸紅が用途開発を進めているACCセルロースナノファイバー(=CNF)の一つである『nanoforest-S【アグリ】』の普及に関する取組みが、このほど、農林水産省の「みどりの食料システム戦略に基づく基盤確立事業実施計画」に認定された。
『nanoforest-S【アグリ】』は、病原菌から植物の葉表面を守る防除資材。主成分はセルロース繊維と水のみで、殺虫・殺菌成分などの合成成分は含まれておらず、さまざまな野菜類や果樹に使用できる。葉面に散布するとセルロース繊維の網がネットのように葉面を保護し、病原菌の侵入を防ぐほか、CNFの両親媒性が葉面を親水性にし、菌が葉面だと認識できなくなるカモフラージュ効果もある。
みどりの食料システム戦略では、2050年までに化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減することを目標の一つに掲げている。『nanoforest-S【アグリ】』は、病原菌の侵入を物理的に防ぐため化学農薬の使用低減にもつながり、普及拡大は目標達成の一助になる。
中越パルプと丸紅は今後、農業現場への普及拡大を見据えた実証試験を進めるとともに、化学農薬から物理的防除資材への転換を推進し、殺菌剤市場(国内出荷額730億円)で販路を開拓する。
株式会社 紙業タイムス社 「Future10/16号」より