日本製紙は、11月10に東京大学で開催された「森林遺伝育種学会第12回大会」で、ゲノム情報を利用した選抜育種技術(ゲノミックセレクション)による事業用クローン開発について発表した。
日本製紙グループのAMCEL社は、ブラジル北部アマパ州で、グループ最大の植林面積を持つ植林事業を展開している。ブラジルにおけるユーカリの一般的な育種プログラムでは、選抜試験を複数回実施し、12年以上の期間をかけて事業用に利用するユーカリクローンを選抜しているが、この開発期間を短縮させるため、同社は2014年から、ゲノム情報を利用して苗の段階で将来の特徴を予測し、優良個体を選ぶ選抜育種技術(ゲノミックセレクション)に取り組んできた。
その結果、17年に開始した実証試験では、主力事業用クローンよりも森林蓄積量に優れるクローン(森林蓄積量≒CO2吸収・固定効率で11%向上)を、播種からわずか4年9ヵ月で開発した。写真は同技術で開発した事業用クローン。開発したクローンは、10万本以上の苗生産を行い、今年100ha程度の商業植栽を開始している。ユーカリ産業植林での同技術の実用化は世界初であり(日本製紙調べ)、学会ではその取組み内容を紹介した。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/20号」より