日本紙パルプ商事(=JP)の連結子会社でマレーシアのクアラルンプールに本社を置くJapan Pulp & Paper (M) Sdn Bhd (=JPPM)はこのほど、JPPMの子会社であるOVOL Malaysia Sdn Bhdを通じ、クアラルンプールの紙商、Mutiara Paper (M) Sdn Bhdの株式を取得した。
マレーシアのGDPは東南アジアではインドネシア、タイに次いで3番目に大きく、2023年第1四半期も5.6%の成長を記録するなど今後も大きな成長が期待される。また、コート紙や上質紙の国内サプライヤーは限られており、紙流通において紙商が重要な役割を果たしている。
JPグループは現在、世界各地で在庫・加工・配送の機能を備えた紙商を展開する“グローカル”戦略を推進しており、今回、株式を譲り受けるOVOL Malaysiaは、本社をクアラルンプールに置き、マレーシア国内に6営業拠点・倉庫を構えて紙・包装資材の卸売やサイン&ディスプレイの販売事業を営んでいる。一方、Mutiaraは紙卸売業を営み、高いサービスレベルでクアラルンプール近郊に強固な営業基盤を持つ。OVOL Malaysiaは、Mutiaraを子会社化することで、営業基盤の強化と両社資産の統合・経営効率化を図り、マレーシアの紙流通業界におけるリーディングカンパニーを目指すと同時に、アジア地域でのグローカル戦略を強化する。
ベトナムの子会社を売却
日本紙パルプ商事(=JP)は、連結子会社で特定子会社のJP CORELEX (Vietnam) Co., Ltd.(=JCV)の出資持分を、ベトナムで紙パルプ事業を営むStavian Pulp & Paper Joint Stock Companyおよび個人に譲渡する。JCVへの出資持分は、JPが29%でJP連結子会社のコアレックス三栄が71%。両方を合わせた全出資持分を売却するもの。なお、譲渡価額は公表しておらず、譲渡益は現時点で未確定。
JCVは、2006年11月にベトナムのフンイエン省で設立され、主に古紙を原料とした再生衛生用紙を製造販売してきた。直近の業績(単位100万円。1㌦=150.67円換算)は、20年12月期→21年12月期→22年12月期の順に、売上高2,632→1,871→1,355、営業益187→△330→△741、当期益184→△330→△741と悪化している。JPは、JCVを取り巻く事業環境の変化や将来獲得しうる事業収益性などについて検討を重ね、売却を決めた。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/4号」より