=2024年3月期第2四半期③=
前号に続き、紙パ関連各社の2024年3月期第2四半期決算(23年4~9月)を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■王子ホールディングス
〔第2四半期〕
売上高 847,093 (+1.1%)
営業益 38,821 (△3.9%)
経常益 50,825 (△15.6%)
当期益 31,641 (△16.6%)
〔通期予想〕
売上高 1,760,000 (+3.1%)
営業益 82,000 (△3.3%)
経常益 90,000 (△5.3%)
当期益 57,000 (+0.9%)
主に国内事業での価格修正により増収となった。海外売上高比率は前年同期を4.1ポイント上回る34.4%。営業益は海外での需要低迷やパルプ市況の悪化により減益。経常益と当期益は、これに加えて為替差益の減少が影響した。
○生活産業資材…売上高+2.4%、営業利益+429.8%。多くの品種で販売量が減少したが、価格修正により増収。紙おむつ売上高は、子ども用は前年並、大人用は増収。海外事業は、段ボール原紙が市況悪化で減収、段ボールは東南アジアの需要低迷で減収、紙おむつは増収。
○機能材…売上高+5.8%、営業利益△39.1%。国内事業は特殊紙、感熱紙ともに減収。海外事業の感熱紙は価格修正で増収。
○資源環境ビジネス…売上高△11.5%、営業利益△36.1%。国内はパルプ事業、エネルギー事業ともに増収。海外事業はパルプ市況悪化と需要低迷に加え、ニュージーランドのサイクロン被害で製造設備が復旧途上のため減収。
○印刷情報メディア…売上高+11.1%、営業利益71億円(前年同期比+73億円)。国内事業は価格修正により増収。海外は江蘇王子製紙で経済回復が鈍く、売上高は前年同期並み。
通期予想は、8月公表の業績予想を修正した。修正額(単位:億円)は、売上高△400、営業益△180、経常益△100、当期益△80。
■日本製紙
〔第2四半期〕
売上高 583,942 (+6.0%)
営業益 4,852 〈△11,981〉
経常益 5,777 〈△7,376〉
当期益 △9,370 〈△22,076〉
〔通期予想〕
売上高 1,230,000 (+6.7%)
営業益 24,000 〈△26,855〉
経常益 18,000 〈△24,530〉
当期益 15,000 〈△50,406〉
価格修正などにより増収。これに原価改善や固定費削減のコストダウン効果が加わり営業益が黒字転換した。一方、Opal社のグラフィック用紙事業撤退に係る特別退職金など8,712百万円の特別損失が発生し、最終損益は赤字。
○紙・板紙事業…売上高+5.5%、営業利益3,883百万円(前年同期比+13,788百万円)。国内販売量は新聞用紙、印刷・情報用紙、板紙いずれも減少したが、価格修正により増収。
○生活関連事業…売上高+2.9%、営業損失△5,016百万円(前年同期比+330百万円)。家庭紙はヘルスケア製品の堅調や価格修正により増収。液体用紙容器は、販売量は微減だが価格修正などにより増収。溶解パルプも増収。海外事業は減収。
○エネルギー事業…売上高+43.7%、営業利益219百万円(前年同期比+2,142百万円)。勇払のバイオマス専焼発電設備の運転開始などにより増収。
○木材・建材・土木建設関連事業…売上高+8.4%、営業利益+34.6%。燃料チップの需要増加などにより増収。
通期予想は、5月公表の業績予想から変更なし。
■北越コーポレーション
〔第2四半期〕
売上高 150,174 (+10.3%)
営業益 12,094 (+202.5%)
経常益 13,772 (+185.2%)
当期益 9,403 (+379.9%)
〔通期予想〕
売上高 310,000 (+2.9%)
営業益 13,000 (△24.8%)
経常益 14,000 (+22.0%)
当期益 9,000 (+8.1%)
○紙パルプ事業…売上高+10.5%、営業利益+227.9%。原燃料価格の高騰はあったものの、価格改定により増収増益。
○パッケージング・紙加工事業…売上高+17.4%、営業利益116百万円(前年同期比+215百万円)。価格改定と販売量増加で増収増益。
○その他…売上高△6.2%、営業利益+8.1%。主にパレット販売で外部受注が減少して減収となったが、各種コストダウン効果で増益。
通期予想は、5月公表の業績予想から営業益を修正した。修正額は+2,000百万円。
■特種東海製紙
〔第2四半期〕
売上高 42,615 (+1.3%)
営業益 783 (△41.4%)
経常益 2,949 (+15.7%)
当期益 2,328 (△26.1%)
〔通期予想〕
売上高 90,000 (+7.0%)
営業益 3,000 (+82.8%)
経常益 6,000 (+47.8%)
当期益 4,000 (△3.2%)
○産業素材事業…売上高△2.2%、営業利益+0.2%。物価高による買い控えなどにより、段ボール原紙とクラフト紙の販売量が減少。利益は、水力発電による売電事業が順調に推移し微増。
○特殊素材事業…売上高△1.9%、営業損失△71百万円(前年同期比△789百万円)。特殊印刷用紙は、国内需要は減少したが価格改定の浸透と海外向けFPの販売増により、売上は前年並み。特殊機能紙は国内外ともに低調。利益面は、円安に加え、前年度の高い原燃料で製造された在庫が払い出されたことで減益。
○生活商品事業…売上高+5.2%、営業利益+323.7%。価格改定の浸透で増収増益。
○環境関連事業…売上高+32.4%、営業利益23百万円(前年同期比+57百万円)。建設事業の完成高が前年同期を上回ったことや、新たに連結子会社化したトーエイの業績が寄与して増収。
通期予想は、5月公表の業績予想から変更なし。
【製紙関連】
■巴川製紙所
〔第2四半期〕
売上高 16,497 (△5.9%)
営業益 795 (△34.0%)
経常益 996 (△26.8%)
当期益 431 (△65.6%)
〔通期予想〕
売上高 36,000 (+5.4%)
営業益 1,500 (△26.9%)
経常益 1,500 (△30.3%)
当期益 600 (△58.7%)
中国経済の減速で、売上の3割強を占めるトナー事業が大幅減収となったほか、機能性不織布関連にも影響が及び、減収となった。営業益は、新製品立上げに係る先行費用の支出増があった一方、価格修正の浸透などにより、期初予想比は大幅プラス。当期益は、前年には資産売却に伴う特別利益が発生していたこともあり大幅減益。
○トナー事業…売上高△23.7%、セグメント利益△67.8%。在庫調整による受注減と価格競争で減収。これに原燃料高が加わり減益。
○半導体・ディスプレイ関連事業…売上高+15.3%、セグメント利益+49.2%。光学フィルムSBUで一時的な受注獲得があり増収。利益は、増収効果のほか、塗工機の稼働率上昇により増益。
○機能性シート事業…売上高+0.7%、セグメント利益56百万円(前年同期比+185百万円)。中国経済減速の影響はあったものの、事業全体で案件獲得や価格改定を進めたことなどにより増収増益。
○セキュリティメディア事業…売上高+10.3%、セグメント利益+89.4%。通帳類や宣伝印刷物の受注増により増収増益。
○新規開発事業…売上高△10.2%、セグメント損失△263百万円(前年同期比△27百万円)。
○その他の事業…売上高+22.8%、セグメント利益+2.3%。
通期予想は、5月公表の業績予想から変更なし。
【紙流通】
■KPPグループホールディングス
〔第2四半期〕
売上高 320,681 (△0.0%)
営業益 7,133 (△42.3%)
経常益 6,012 (△46.0%)
当期益 4,710 (△49.1%)
〔通期予想〕
売上高 650,000 (△1.5%)
営業益 17,000 (△16.7%)
経常益 13,500 (△26.6%)
当期益 10,500 (△33.2%)
○北東アジア…売上高+3.9%、営業利益△30.0%。日本では、グラフィック用紙の販売量が前年割れとなったものの、価格修正により紙分野全体では増収。板紙は、段原紙の販売量は前年割れだったが、紙器用板紙は販売量・売上高ともにプラス。古紙は販売量・売上高ともにマイナス。中国は販売量・売上高ともに前年割れ。
○欧州/南米…売上高△5.0%、営業利益△52.2%。欧州では、製品価格の下落と需要の減退から紙卸売事業が売上高・利益ともに低調。パッケージ事業は横ばい。南米は概ね横ばい。
○アジアパシフィック…売上高+6.6%、営業利益△20.2%。オセアニアは商業印刷を中心にマーケットシェアを拡大し、業績が向上。アセアンは紙卸売事業が低迷する一方、シンガポールでのM&Aが業績に貢献。
○不動産賃貸事業…売上高+28.1%、営業利益+405.4%。
通期予想は、5月公表の業績予想から変更なし。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/4号」より