大王製紙はこのほど、透明度の高いセルロースナノファイバー（＝CNF）の新たな製造技術の開発に成功し、高透明度CNF水分散液『ELLEX‐C』（エレックスクリア）を、同社のCNFシリーズ『ELLEX』のラインアップに追加した。なお『ELLEX‐C』は、富士紡ホールディングスの機能性繊維加工「memory cotton（メモリーコットン）」の防縮・防シワ剤の材料として採用された。
　『ELLEX‐C』は、繊維幅を約3～4nmまで微細化したCNF水分散液。大王製紙のこれまでの高透明度CNF水分散液としては、亜リン酸エステル化法で製造し2018年にサンプル提供を開始した『ELLEX-☆』（エレックススター／繊維幅3～4nm）がある。同社は『ELLEX-☆』を、ユーザーの評価を得ながら開発を進めてきたが、『ELLEX-☆』では解決できない課題があった。
　そして、事業化を目指す上でカギとなるコストや品質面、安全・環境も考慮しながら、亜リン酸エステル化法とは異なる新たな技術を用いて開発したのが、今回の『ELLEX‐C』。従来法に比べ、より環境にやさしい薬品や製造技術を利用し、かつ省エネで生産性の高い製造方法を採用しながら、富士紡ホールディングスの「memory cotton」では、防縮・防シワ効果で『ELLEX‐C』がより機能を発揮した。
　「memory cotton」は、富士紡ホールディングスと大王製紙が共同開発した新世代型イージーケア加工であり、『ELLEX‐C』を用いることで、生地の色を変えずに寸法安定性を付与し、ホルムアルデヒドを含まない防縮・防シワ加工を実現した。生地本来の柔らかさを損なわず、洗濯を繰り返しても効果が持続するのが特徴だ。従来の大王製紙の高透明度CNFでは加工工程での分散性に課題があったが、『ELLEX‐C』により改善した。
　大王製紙は今後、『ELLEX‐C』を化粧品、塗料、インキなど意匠性が要求される用途や光学系材料への展開を想定し、用途開発を加速させる。サンプル提供は4月から開始する予定。
【提供サンプル】▽高透明度CNF水分散液『ELLEX‐C』▽固形分濃度 ：1.0 ％▽提供量：200（ポリ容器、提供量は相談可）
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future5/6号」より