=2024年5月期決算=
岡山製紙と小津産業は、2024年5月期決算(23年6月~24年5月)を発表した。以下、単位100万円、%表記は対前年度比。
■岡山製紙(非連結)
〔2024年5月期〕
売上高 11,511(+5.9%)
営業益 1,681(+174.0%)
経常益 1,779(+156.8%)
当期益 1,157(+133.8%)
〔2025年5月期予想〕
売上高 11,500(△0.1%)
営業益 1,000(△40.5%)
経常益 1,100(△38.2%)
当期益 770(△33.5%)
物価上昇による消費抑制の影響を受け、段ボール原紙を中心とした板紙需要の減退により販売量は減少したが、前期に実施した製品価格改定効果もあり増収。また、LNGなど原燃料の価格は高い水準だが、価格改定効果もあって大幅な増益となった。
○板紙事業…売上高+6.9%、セグメント利益+155.0%。販売量は△3.1%と減少したが、価格改定により増収。
○美粧段ボール事業…売上高△1.6%、セグメント損失△3百万円(前年度比+44百万円)。主力の青果物向けは堅調も、価格改定に伴うシェア移動にもより減収。損益は製品価格改定の効果にもより改善した。
2025年5月期は、サステナブル企業経営への取組みや、生産面では従来にも増して需要に見合った生産体制の構築とコスト低減、また営業面では適正価格の維持と新規取引先の開拓を進め、環境の変化に対応した経営に努めるとしている。
中期経営計画を策定
岡山製紙は、24年度(25年5月期)~26年度(27年5月期)を対象とする、中期経営計画を策定した。3ヵ年の業績計画は次期の通り。
24年度 25年度 26年度
売上高 11,500 11,600 11,700
営業益 1,000 900 950
経常益 1,100 1,000 1,050
当期益 770 700 735
中計の経営方針として、
①板紙事業、美粧段ボール事業ともに販売方針実現化による事業成長の推進
②人的資本経営により従業員が働きやすく、やりがいのある職場環境を目指す
③安全第一のもと、既存設備の生産性向上の追求(部分設備更新等)
④SDGsの観点より、気候変動、エネルギー、資源の循環対応推進
――を掲げる。
またサステナブル経営のための重要課題として、「気候変動」では、200年企業を目指して持続的な成長を続けるために、GHG削減が喫緊の課題であるとの認識から、カーボンニュートラルを推進する。さらに「人的資本・人権」では、人材を最優先すべき資本の一つに位置づけ、継続的に投資を実施することで競争力の確保を目指し、人材育成、社内環境整備に取り組み、働きがいのある職場環境を実現する。
■小津産業
〔2024年5月期〕
売上高 10,125(△2.3%)
営業益 528(+15.1%)
経常益 704(+19.5%)
当期益 546(+42.3%)
〔2025年5月期予想〕
売上高 10,000(△1.2%)
営業益 290(△45.1%)
経常益 420(△40.4%)
当期益 290(△46.9%)
○不織布事業…売上高△2.4%、セグメント利益+19.3%。エレクトロニクス分野は中国など世界経済の減速によりスマホやPC向け需要が低迷も、自動車関連やプリンター、内視鏡関連需要は堅調に推移。また、食品分野の拡販にも取り組んだことから、売上高、利益面ともに横ばい。
メディカル分野は感染対策用消耗品やマスク需要の減少により売上高、利益ともに減少。コスメティック分野は、東アジアのコスメ市場の変化により海外販売は低調。国内も中国景気の鈍化から伸び悩み、売上高、利益とも前期比マイナス。除染関連は採用実績あり。
グループ各社の状況は、小津(上海)貿易有限公司が減収減益、ウエットティシュのディプロは増収増益、アグリ分野の日本プラントシーダーは売上高横ばいも利益は増加。
○その他の事業(除菌関連、不動産賃貸)…売上高△0.4%、セグメント利益△19.8%。
長期ビジョンおよび第一次
中期経営計画を策定
小津産業は、2034年5月期をターゲットする「長期ビジョン:OZU Innovation 2034」を策定した。経営陣とグループ従業員が同じ目線で目指す姿・目標・課題を共有し、グループ一丸となって業務への取組みを推進、企業価値向上の実現を図るとしている。
長期ビジョンでは、「わたしたちは、『より清潔・より快適』を提供する会社を目指します。わたしたちは、社会のニーズに応え、お客さまの利便性、快適性、生産性の向上に寄与する『製品・サービス』を生み出し、提供することによって、社会の発展に貢献します」を目標に定め、数値目標として、2034年5月期の連結ベース売上高150億円を掲げた。
このビジョン実現のため、24年6月~27年5月までの3ヵ年にわたる新中期経営計画「第一次中期経営計画2027」を策定した。第一次中計では、長期ビジョンで掲げた発展のための土台づくりとして、着手準備や体制構築、経営基盤の再構築、調査重点設定、展開推進判断をはじめ、顧客ニーズに関する情報収集活動の展開などを基本方針とした。27年5月期における計量計画は、売上高105億円、営業益3億円を掲げており、今後10年間に第二次、第三次中計を推進し、34年5月期目標達成を目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future8/26号」より