リンテックは、先端半導体向け材料「EUV露光機用ペリクル(防塵材料)」の量産体制が、2025年度中に確立する見通しが立ったことを公表した。昨秋から産業技術総合研究所(=産総研)の先端半導体研究センターと共同研究を進めていたが、この研究成果を元に量産化の見通しが立ったもの。
先端半導体の微細回路形成には、EUV(Extreme Ultraviolet:極端紫外線)露光機が用いられるが、露光機の性能向上に伴い、より高耐久のペリクルの開発が求められている。先端半導体において日本の製造装置・材料の重要性が増す中、同社グループではカーボンナノチューブ(CNT:筒状炭素分子)シートの開発を手がける米国・テキサス州の研究開発拠点で高耐久のCNT製ペリクルの開発に着手し、2023年に要素技術を確立した。また、同年10月には産総研と量産化技術の共同研究を開始し、今年7月にはCNT製ペリクルの量産機の立上げに成功。この結果、量産化の見通しが立ったもの。
リンテックグループは、産総研と次世代半導体デバイス製造向けナノリソグラフィ要素技術の共同研究を行うとともに、CNT製ペリクルの量産体制確立に向けて、米国・テキサス州のほか、国内の研究所(さいたま市)でペリクルの要素技術開発を進めている。また、半導体関連装置などの設計・開発拠点(埼玉県北足立郡)で独自設計の量産機を開発し、さらにEUV透過率測定装置などのペリクル特性の評価装置の開発も行っている。これらの成果により、2025年度内の量産体制確立および早期の社会実装へとつなげていく。
株式会社 紙業タイムス社 「Future10/21号」より