日本紙パルプ商事は、ドイツに100％子会社を2社設立し、同国の紙・板紙卸売会社3社の事業を譲り受けることを決めた。新会社2社のうち、OVOL Papier Deutschland GmbHはInapa Deutschland GmbHの事業を、また、OVOL C&P Deutschland GmbHはInapa Packaging GmbHおよびInapa Complott GmbHの事業を譲り受ける。譲り受ける3社はいずれも民事再生中で、2023年12月期売上高は3社合わせて5億5,040万ユーロ（約891億6,500万円）。
　日本紙パルプ商事は、「世界最強の紙流通企業グループ」を目指し、世界各地でプレゼンスが高い紙卸のグループ化に注力している。補完的M＆Aにより、各市場でシェアアップや事業領域拡大を図っているほか、サイン＆ディスプレイやパッケージ、軟包装など高付加価値商材の販売拡大に取り組んでいる。現在のグループ海外拠点は21ヵ国・地域、海外連結子会社数は66社にのぼる。
　今回の事業譲受の相手先は、ポルトガルに本社を置く、欧州3位の紙商グループ Inapa-Investimentos, Participaes e  Gesto, S.A.のドイツ拠点3社で、それぞれグラフィック用紙、包装関連資材、サイン＆ディスプレイ関連商品を販売している。
　ドイツの紙・板紙消費量は他の先進国同様、減少傾向にあるものの、年間約1,800万tと、中国、米国、日本に次ぐ市場規模。日本紙パルプ商事グループは、海外事業戦略として各市場に根差した卸商経営の拡充を基本としており、今回、ドイツ全域をカバーする物流網を有する3社の事業を譲り受けることで、欧州での卸商基盤を拡充すると同時に、高付加価値商材の販売拡大にもつなげたい考え。
　各社の概要は次の通り。
【OVOL Papier Deutschland GmbH】▽所在地：フランクフルト市▽事業：グラフィック用紙の販売▽資本金：25,000ユーロ（400万円）▽設立予定：2024年10月▽株主：日本紙パルプ商事100％
【OVOL C&P Deutschland GmbH】▽所在地：フランクフルト市▽事業：包装関連資材およびサイン＆ディスプレイ関連商品の販売▽資本金：25,000ユーロ（400万円）▽設立予定：2024年10月▽株主：日本紙パルプ商事100％
【Inapa Deutschland GmbH】▽所在地：ハンブルグ市▽事業：グラフィック用紙の販売▽資本金：1,700万ユーロ（27億5,400万円）▽設立：1988年
【Inapa Packaging GmbH】▽所在地：ハンブルグ市▽事業：包装関連資材の販売▽資本金：25,000ユーロ（400万円）▽設立：2006年
【Inapa Complott GmbH】▽所在地：メットマン市▽事業：サイン＆ディスプレイ関連商品の販売▽資本金：53,000ユーロ（900万円）▽設立：2008年

株式会社　紙業タイムス社　「Future11/4号」より