=2025年3月期第2四半期③=
前号に続き、紙パ関連各社の2025年3月期第2四半期決算(24年4~9月)を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比。
【製紙関連】
■レンゴー
〔第2四半期〕
売上高 495,134 (+9.3%)
営業益 19,798 (△22.9%)
経常益 21,871 (△20.4%)
当期益 18,883 (+2.6%)
〔通期予想〕
売上高 1,000,000 (+11.0%)
営業益 50,000 (+2.3%)
経常益 52,000 (+8.4%)
当期益 35,000 (+6.0%)
○板紙・紙加工関連事業…売上高+0.6%、営業利益△33.5%。売上高は前年を維持したが固定費の増加で減益。板紙製品は段ボール需要の持ち直しの動きに支えられ、生産量は+0.2%。段ボール製品は幅広い分野で需要が底堅く推移し、生産量は段ボール+0.2%、段ボール箱+1.1%。
○軟包装関連事業…売上高+48.0%、営業利益△10.8%。連結子会社の増加で増収となったが、固定費が増加し減益。
○重包装関連事業…売上高+2.3%、営業利益+39.9%。石油化学関連の需要は減少したが、工業樹脂製品の好調により増収増益。
○海外関連事業…売上高+11.6%、営業利益△3.5%。連結子会社の増加により増収となったが、欧州で重量物包装事業の採算が悪化したことなどにより減益。
○その他の事業…売上高±0.0%、営業利益+38.2%。運送事業の採算改善などにより増益。
通期予想は5月公表の業績予想から変更なし。
■リンテック
〔第2四半期〕
売上高 158,476 (+20.3%)
営業益 13,687 (+329.1%)
経常益 14,266 (+231.8%)
当期益 10,814 (+449.9%)
〔通期予想〕
売上高 310,000 (+12.2%)
営業益 24,000 (+125.8%)
経常益 24,300 (+110.6%)
当期益 17,000 (+224.2%)
半導体・電子部品関連製品の売上高が大幅に回復したことに加え、米国でのシール・ラベル用粘着製品の販売量増加もあり、総じて好調に推移。利益面は、原燃料価格の高止まりはあったものの、販売量の増加、またそれによる生産設備の稼働率改善の効果があった。
○印刷材・産業工材関連…売上高+13.5%、営業利益3,558百万円(前年同期比+4,335百万円)。販売量の増加や円安効果により増収。利益面は、米国で販売量が大幅に増加したこともあり黒字転換した。印刷・情報材事業部門の売上高は+14.8%、産業工材事業部門は+8.8%。
○電子・光学関連…売上高+42.9%、営業利益+120.3%。光学ディスプレイ関連粘着製品は低調だったが、半導体・電子部品関連製品が大幅に回復して増収増益。アドバンストマテリアルズ事業部門の売上高は+55.9%、オプティカル材事業部門は△6.9%。
○洋紙・加工材関連…売上高+7.8%、営業利益615百万円(前年同期比+987百万円)。洋紙事業でカラー封筒用紙の需要が減少したが、加工材事業の販売量が大幅に増加し増収増益。洋紙事業部門の売上高は△3.9%、加工材事業部門は+18.5%。
通期予想は5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、売上高+20,000、営業益+6,000、経常益+6,300、当期益+4,000。半導体・電子部品関連製品の売上げが当初想定を大きく上回ったことに加え、ほかの製品も受注が回復すると見込んだ。これを踏まえ、配当予想も修正した。中間配当を当初予定の1株当たり44円から6円増配の50円とし、年間配当予想は当初予定の88円から12円増額の100円とする。
■巴川コーポレーション
〔第2四半期〕
売上高 17,229 (+4.4%)
営業益 922 (+16.0%)
経常益 1,022 (+2.5%)
当期益 759 (+76.0%)
〔通期予想〕
売上高 35,000 (+3.9%)
営業益 2,200 (+65.3%)
経常益 2,200 (+33.9%)
当期益 1,000 (+68.3%)
円安による海外関連売上高の嵩上げ、価格転嫁、機能性シート事業での一時的な受注増などにより、増収となった。利益は、新製品立上げに伴う費用の先行負担や人件費の増加はあったものの、円安および価格転嫁によるプラス効果に加え、ディスプレイ関連事業が引き続き好調だったこともあり、営業増益となった。当期益は、法人税等調整額の減少などにより増益。
○トナー事業…売上高+12.9%、セグメント利益+88.5%。需要回復と、円安に伴う海外関連売上高の嵩上げなどにより増収増益。
○半導体・ディスプレイ関連事業…売上高+0.6%、セグメント利益+26.4%。光学フィルムSBUでディスプレイ向けフィルム加工が好調を維持したことなどにより増収。利益は、増収効果や新製品の試作・試験入金が当初予想を上回ったことにより増益。
○機能性シート事業…売上高+4.2%、セグメント利益△85.8%。塗工紙SBUの一部製品が好調だったほか、子会社の製紙SBUとガムテープSBUが堅調で増収。利益は、機能性不織布SBUが伸び悩んだため減益。
○セキュリティメディア事業…売上高△11.1%、セグメント利益△48.5%。
○新規開発事業…売上高△31.5%、セグメント損失△354百万円(前年同期比△91百万円)。
○その他の事業…売上高+11.2%、セグメント利益△22.3%。
通期予想は5月公表の業績予想から変更なし。
【紙流通】
■KPPグループホールディングス
〔第2四半期〕
売上高 333,943 (+4.1%)
営業益 6,578 (△7.8%)
経常益 4,459 (△25.8%)
当期益 3,251 (△31.0%)
〔通期予想〕
売上高 655,000 (+1.6%)
営業益 16,500 (+4.3%)
経常益 13,500 (+8.2%)
当期益 11,000 (+3.6%)
○北東アジア…売上高△1.4%、営業利益△10.4%。国内グラフィック用紙は販売量が減少して減収減益。段ボール原紙は、販売量は横ばいだったが、売上高と利益は市況が維持され増加。高級板紙は堅調だったが、紙器用板紙はインバウンドの影響は限定的で減収減益。古紙は発生量・販売量は減少したが、市況価格は安定して増収増益。市販パルプも市況が改善して増益。中国は販売量・売上高ともに減少。
○欧州/米州…売上高+6.5%、営業利益△17.3%。ペーパー事業は需要が弱く、値上げも浸透せず、減収減益。パッケージング事業は、減収だったが新たに買収した3社が業績を押し上げて増益。ビジュアルコミュニケーション事業は、五輪とサッカー欧州選手権による需要増に加え、昨年買収したIntegart社の貢献もあり増収増益。
○アジアパシフィック…売上高+25.1%、営業利益+40.3%。オセアニア経済が低調に推移しペーパー事業は減収減益。パッケージング事業は4月に買収したSignet社が業績に貢献し大幅に増収増益。ビジュアルコミュニケーション事業とトレーディング事業も増収増益。
○不動産賃貸事業…売上高△1.1%、営業利益+2.0%。
通期予想は5月公表の業績予想から変更なし。
■日本紙パルプ商事
〔第2四半期〕
売上収益 278,419 (+2.6%)
営業益 8,185 (△7.7%)
経常益 8,250 (△7.4%)
当期益 5,714 (+7.3%)
〔通期予想〕
営業益 18,000 (+3.4%)
経常益 18,000 (+7.4%)
当期益 10,000 (△3.4%)
○国内卸売…売上収益+2.0%、経常利益△15.8%。紙の販売量は減少。板紙では、段原紙は消費者の買い控えに伴う需要減や、工業製品の回復遅れも見られたが飲料向けは堅調で、白板紙は医薬品・化粧品向けが堅調、トレーディングカード用途も増加し、板紙販売量は増加した。機能材料製品は需要が回復傾向。これらの結果、販売量は前年並みとなり、経常利益は人件費などの販管費増加で減益。
○海外卸売…売上収益+3.4%、経常利益△19.6%。米国、英国、豪州は需要減少が継続し、価格競争も激化して売上収益が減少。日本からの輸出は中国・東南アジア向けが増加。為替換算の影響もあって増収となったが、経常利益は粗利の減少や人件費をはじめとした販管費の増加により減益。
○製紙加工…売上収益+2.0%、経常利益+2.3%。段ボールは、販売量、販売単価は前年並みだが、製造コストが増加。再生家庭紙は販売量が微減となったが単価は上昇。経常利益は、赤字子会社が連結から外れたことなどにより増益。
○環境原材料…売上収益△0.4%、経常利益+47.5%。国内、米国ともに古紙発生量が減少し、米国で2拠点を事業停止したため古紙販売は減少。木質バイオマス発電所向け燃料の販売量は大幅に増加。
○不動産賃貸…売上収益+3.4%、経常利益+1.9%。
通期予想は5月公表の業績予想から変更なし。