王子グループの王子産業資材マネジメントは、全熱交換型換気システムの部材として、CNFを活用した新たな全熱交換エレメントを発売する。
全熱交換エレメントとは、主に高効率換気扇に使われる部品で、中芯とライナーを積層したもの。換気で失われる熱エネルギーを回収し、エアコンなどの空調設備にかかる環境負荷を低減する。
近年、IAQ(室内空気質)や省エネルギーに対する意識の高まりから、全熱交換型換気システムの需要が拡大している。王子が開発した全熱交換エレメントは、このニーズに応えるため、木材を原料としたリン酸エステル化CNFを用いることで、高い気密性によるIAQの向上と、全熱交換効率の向上による省エネルギーを実現する。
同エレメントは、ベースフィルム(基材)の上に前述のCNFを極薄膜(透湿性高分子膜)として形成した新規交換膜(ライナー)を用いており、これを通して熱・水分(顕熱・潜熱)の交換を行う。この透湿性高分子膜は非常に緻密なため、極薄ながら極めて高い気密性を有し、CO2や汚れた空気を通さない。また、CNFの親水性により、従来の交換膜と比べて格段に高い水分透過性を持ち、基材とともに極薄構造にすることで、優れた全熱交換効率となる。これにより、清らかな室内空間と省エネルギーを同時に実現する。なお同エレメントは、北米向け全熱交換型換気システムへの採用が決定された。