=2025年3月期③=
前号に続き、紙パ関連各社の2025年3月期決算(24年4月~25年3月)を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前期比、〈 〉内は前期の実績値。
【紙流通】
■KPPグループホールディングス
〔2025年3月期〕
売上高 670,042 (+4.0%)
営業益 13,544 (△14.4%)
経常益 9,712 (△22.1%)
当期益 7,986 (△24.8%)
〔2026年3月期予想〕
売上高 675,000 (+0.7%)
営業益 13,500 (△0.3%)
経常益 9,500 (△2.2%)
当期益 8,000 (+0.2%)
○北東アジア…売上高△0.3%、営業利益△15.4%。国内の紙分野は、グラフィック用紙が減少して減収減益。板紙は飲料向け段ボール原紙が堅調で販売量・売上高・利益ともに増加。紙器用板紙はインバウンド需要に勢いがなく販売量・売上高が減少したが、市況維持により利益は増加。高級板紙は減収減益。製紙原料では、古紙は市況価格が安定し増収増益。市販パルプは市況下落と為替影響で赤字。中国事業は紙の需要が回復せず、業績回復には至らなかった。
○欧州/米州…売上高+4.5%、営業利益△25.9%。ペーパー事業は需要の低迷と価格競争の激化により減収減益。パッケージング事業は、ドイツを中心とした景気後退の影響があったが、新たに買収した3社が業績を押し上げて増収増益。ビジュアルコミュニケーション事業は、需要の堅調に加え買収した2社の貢献もあって増収増益。
○アジアパシフィック…売上高+26.3%、営業利益+39.5%。ペーパー事業はオセアニア地域の商業印刷・板紙市場の低迷により減収減益。パッケージング事業は4月に買収したSignet社の業績が堅調で大幅に増収増益。ビジュアルコミュニケーション事業とトレーディング事業も増収増益。
○不動産賃貸事業…売上高△1.1%、営業利益+4.0%。
次期については、ペーパー事業はグラフィック用紙の減少を各地域で見込んでいるが、価格維持により一定の利益確保を想定。欧州・米州、オセアニアのパッケージング事業・ビジュアルコミュニケーション事業は、買収会社の業績が寄与することや、新たな需要の取込みにより、ペーパー事業の落ち込みをカバーする見込み。
■日本紙パルプ商事
〔2025年3月期〕
売上収益 554,524 (3.8%)
営業益 15,071 (△13.4%)
経常益 15,822 (△5.6%)
当期益 7,569 (△26.9%)
〔2026年3月期予想〕
営業益 16,500 (+9.5%)
経常益 15,500 (△2.0%)
当期益 8,500 (+12.3%)
○国内卸売…売上収益+2.2%、経常利益△10.1%。紙の販売量は減少。段ボール原紙は青果物向けが低調で、工業製品向けの回復遅れも見られたが、飲料向けは堅調。白板紙は医薬品・化粧品向けが堅調、トレーディングカード用途も増加した。これらにより板紙全体の販売量は増加。機能材料製品の販売量も増加。経常利益は人件費や物流費の増加で減益。
○海外卸売…売上収益+5.9%、経常利益△8.2%。米国、英国、豪州は紙・板紙の需要減が継続したが、米国での在庫調整が一巡したことや、M&Aに伴う販売増もあり売上収益は増加。日本からの輸出は、中国向け板紙は減少したが、韓国・東南アジア向けの紙が増加し数量・金額ともに増加。これらに加えて為替換算の影響もあり、増収となった。経常利益は、販売単価の下落、人件費や物流費の増加に加え、独仏でのM&A付随費用の計上もあり減益。
○製紙加工…売上収益+3.1%、経常利益△4.0%。段ボールは、販売量、販売単価は前年並みだったが、製造費用が増加。再生家庭紙は販売量は前期並みだったが、コスト削減効果と販売単価の上昇があった。経常利益は、製造費用に加え運賃などの増加もあり減益。
○環境原材料…売上収益△4.2%、経常利益+22.3%。古紙事業は、国内、米国ともに古紙発生量減少が継続したほか、事業所譲渡や拠点閉鎖もあり販売は減少。パルプも国内・海外向けともに減少。木質バイオマス発電所向け燃料販売は、マレーシアでの第2ヤード開設などにより増加し、また価格も上昇、これにより経常利益も増益。
○不動産賃貸…売上収益+2.1%、経常利益+0.8%。
2026年3月期のセグメン別経常利益の増減率は、国内卸売△3.3%、海外卸売+22.1%、製紙加工+0.6%、環境原材料△10.5%、不動産賃貸△9.8%と見込んだ。
■平和紙業
〔2025年3月期〕
売上高 16,032 (△0.6%)
営業益 142 (△9.7%)
経常益 206 (△7.0%)
当期益 117 (△14.2%)
〔2026年3月期予想〕
売上高 16,400 (+2.3%)
営業益 162 (+13.5%)
経常益 225 (+9.1%)
当期益 137 (+17.1%)
○和洋紙卸売業…売上高△0.5%、営業利益△13.8%。印刷・情報用紙分野での構造的な需要減の影響が大きく、全体の販売量は減少した。一方で各種技術紙、機能紙分野やファンシーペーパー、パッケージ用途での販売金額は堅調に推移、販売単価の上昇もあった。品種別の売上高は次の通り。ファンシーペーパーは販促活動の継続効果と、パッケージや商業印刷用途が堅調に推移したことに加え、価格修正の影響もあり+1.7%。ファインボードは高級パッケージ、紙製品用途の販売は安定していたが商業印刷、広告物用途が減少して△0.2%。高級印刷紙は紙製品用途は堅調だったが商業印刷用途や出版向けの微減により△1.6%。ベーシックペーパーは紙器用途は堅調だったが商業印刷用途や輸出向けが減少して△5.2%。技術紙は耐水撥水性機能紙の販売に加え、合成紙の販売が堅調に推移し+9.8%。その他(家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等)は△15.0%。
○不動産賃貸業…子会社の平和興産が倉庫業務を新規に受託し、売上高+35.3%、営業利益+23.9%。
2026年3月期は、高級パッケージ用途や機能紙分野、特殊素材分野への事業強化を継続するとともに、社会的課題に対応した新たな商材の開発を推進する。