日本製紙連合会が集計した８月の需給速報によると、紙・板紙の国内出荷は前年同月比＋2.3％の211.0万tとなった。前年実績を上回るのは震災後初めて。うち、紙は＋1.5％の122.3万t、板紙は＋3.4％の88.7万t。主要品種は情報用紙と包装用紙を除き増加している。
　一方、紙・板紙のメーカー輸出は前年同月比▲42.5％の5.6万tにとどまった。前年割れは12ヵ月連続である。震災以降は急激な円高に加えて国内向けの供給優先といった事情もあり、ほぼ半減状態が続く。
　紙・板紙の在庫は前月比▲1.2万tの186.1万t。内訳は紙が＋2.0万t、板紙が▲3.2万tで、後者を中心に減少した。　
　以下、主要品種の動向である。
〔新聞用紙〕国内出荷は前年同月比＋0.3％の26.2万t。ほぼ横バイながらも、９ヵ月ぶりの増加となった。
〔印刷・情報用紙〕国内出荷は前年同月比＋2.8％の69.5万t。輸入は引き続き増えているが、今秋の価格修正に伴う前倒し需要などもあり６ヵ月ぶりに増加した。他方、メーカー輸出は▲56.2％の3.7万t。こちらは塗工紙を中心に11ヵ月連続の減少である。
〔衛生用紙〕国内出荷は前年同月比＋2.0％の14.4万t。震災特需の反動減などが一巡し、４ヵ月ぶりに増加した。
〔板紙〕段ボール原紙の国内出荷は前年同月比＋3.1％の69.8万t。飲料関連は前年並みだったものの、営業日数の１日増などにより前月の減少から増加に転じた。白板紙は同＋6.1％の12.4万t。値上げがアナウンスされているため、先の印刷・情報用紙と同様、前倒し需要の影響もあって増加している。
　なお１～８月の累計は、紙・板紙の国内出荷が前年同期比▲1.9％の1,689.8万tとなった。内訳は紙が▲4.1％の973.2万t、板紙が＋1.2％の716.6万tと明暗を分けている。一方、メーカー輸出は紙・板紙合計で▲37.0％の53.7万tだが、内訳は紙46.9万t（▲40.5％）、板紙6.8万t（＋5.6％）と、ここでも対照的な推移になっている。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Ｆｕｔｕｒｅ　10/10号」より