中小企業庁はこのほど、セーフティネット保証5号の業種指定などについて2012年度の基本方針を定め、関係方面へ通知した。「セーフティネット保証5号」とは、国が業況の悪化している業種を指定し、その業種で事業を行う中小企業が経営の安定に支障を生じた場合、市区町村長の認定を受けると、信用保証協会が一般保証とは別枠で借入額の100%を保証するもの。
似たような枠組みは以前にもあったが、08年のリーマン・ショックを契機とした世界同時不況で、中小企業の業況が著しく悪化したことから広く利用されるようになった。指定業種の中にはパルプ・紙・紙加工品製造業、印刷・同関連業、道路貨物運送業、倉庫業、その他の卸売業(紙・紙製品卸売業ほか)などが含まれている。現行の指定期間が3月末で終了するため、中企庁は4月以降の方針を次のように決定した。
①12年度上半期は引き続き、原則として全業種指定の運用を継続する。
②個別の中小企業の状況にキメ細かく対応するため、現在は中分類で行われている業種指定について、12年度下半期から細分類で行う。
③細分類による業種指定を円滑に行えるよう、業況調査を実施する部局や個別中小企業の業種を判断する市区町村に対して、十分な周知を図る。
一方、属する業種の景況を問わず、震災の影響を受けて厳しい状況に置かれている中小企業については、東日本大震災復興緊急保証を積極的に活用し、資金繰りに万全を期すとしている。この緊急保証もまた、信用保証協会が一般保証とは別枠で借入額の100%を保証するもの。
なお企業認定を受けるためには、以下のいずれかの基準を満たしていなければならない。
◆指定業種に属する事業を行っており、最近3ヵ月間の月平均売上高が前年同期比で5%以上、減少している中小企業。
◆指定業種に属する事業者で、製品原価のうち20%を占める原油などの仕入価格が20%以上、上昇しているにもかかわらず、製品価格に転嫁できていない中小企業。
◆指定業種に属する事業者で、円高の影響により原則として最近1ヵ月の売上高が前年同月比で10%以上減少し、かつ、その後2ヵ月を含む3ヵ月間の月平均売上高が前年同期比で10%以上減少すると見込まれる中小企業。
株式会社 紙業タイムス社 「Future 4/9号」より