特種東海製紙はこのほど、リチウムイオン二次電池向けセパレータの量産化計画について発表した。
これは、環境に優しい廉価なセルロース材料100%を使用し、なおかつテーブルテストでは、微多孔フィルムや不織布と同等以上の性能を持つと評価された電池セパレータ。同社は昨秋、同セパレータの開発に成功したことを公表、以降、市場予測や新規用途開発を進め、量産方式の検討や生産技術の確立に取り組んできた。
当初計画では、実験室レベルから一気に2012年度末からの大規模設備での生産開始を予定していたが、市場初の試みであることや、リチウムイオン二次電池のユーザー情報について多くの知見を得たことを踏まえ、まず小規模な生産設備を導入して生産技術を確立しつつ、生産性やユーザー評価を慎重に確認していくことにしたもの。このため、本格的な生産開始は約2年延期し、14年秋になる予定。
現在はテストマシン兼小規模生産マシンの最終設計段階にあり、年明け早々に島田工場内で建設工事を起工し13年10 月には完成する予定。投資額は約10 億円。初めはテストを兼ねた小規模生産品として上市する予定だが、並行して本格的な生産機の設置場所を検討し、量産体制を構築していく。同社では、「引き続きリチウムイオン二次電池向けセパレータの開発に注力し、より一層の製品信頼性の向上と基本性能の強化を進め、実用化を目指す」としている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/17号」より