日本IR協議会はこのほど、IRに関する企業調査結果を発表した。日本IR協議会の会員企業のうち、「IR優良企業賞2014」に応募した261社のアンケート調査の集計結果を公表したもの。「IR優良企業賞」は、IRの趣旨を深く理解し積極的に取り組んでいる企業を表彰する制度で、3段階の審査を経て決定する。最終審査の結果は、11月上旬発表予定。

　調査結果の概要は次の通り。

①応募企業261社のうち、「IRの目標を設定し、明文化している」のは242社（92.7％）。IR目標の上位3項目は「企業・事業内容の理解促進」（93.0％）、「経営戦略・経営理念の伝達」（87.6％）、「適正な株価の形成」（86.0％）で前年と同様だが、今回は「株主・投資家との信頼関係の構築」（86.0％）を挙げる企業が約11ポイント上昇した。

②「経営の透明性を高める目的で導入、または強化した取り組み」については、「独立社外取締役の採用あるいは役割発揮」（74.3％）、「投資家と建設的な目的を持った対話の準備」（71.6％）など、コーポレート・ガバナンスの強化を意識する企業が多かった。また、「この1年で株主・投資家の意見を企業活動に活かした」という回答は81.6％（前年75.7％）に達した。

③IRサイトの内容を拡充する動きも顕著で、業績予測の根拠やリスク情報の説明を充実する、外国人投資家・個人投資家などの対象別に工夫するといった取組みが増加した。また、事業部門長の協力によるIR活動や、いわゆる「IR－day」の実施率も高まっている。IR予算を増やす企業（25.7％）も前年比6ポイント上昇した。

④「IR活動において強調したい点や昨年度と比べて力を入れた点、現在力を入れている点、業績が見通しにくい中で工夫していること」を問う記述回答では、「個人投資家向けIRの強化」が30.0％と最も多く、「経営トップによるIR」、「投資家とのミーティングの増加」もそれぞれ28.4％と高かった。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future11/3号」より