＝紙パの第2四半期②＝

　前号に続き、紙パ関連企業の第2四半期（2016年4～9月）決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率、〈　〉内は前年同期の実績値。

【製紙会社】

●北越紀州製紙

〔第2四半期〕

　売上高 132,319 （＋12.8％）

　営業益 6,187 （＋77.0％）

　経常益 4,306 （＋14.0％）

　当期益 3,277 （＋44.9％）

〔通期予想〕

　売上高 265,000 （＋7.4％）

　営業益 10,500 （＋13.7％）

　経常益 11,000 （＋3.9％）

　当期益 8,000 （＋7.0％）

　円高に伴う原燃料価格の下落、Alberta Pacific Forest Industries Inc.の連結子会社化によって増収増益となった。しかしながら、洋紙市況の低迷で販売が計画を下回り、円高による為替差損発生などのマイナス要因もあることから、通期予想は5月公表の前回予想を、売上高および利益の全段階で下方修正した。修正額（単位100万円）は、売上高△5,000、営業益△2,500、経常益△3,000、当期益△2,000。

●特種東海製紙

〔第2四半期〕

　売上高 38,435 （△2.8％）

　営業益 2,055 （＋1.7％）

　経常益 2,128 （△0.4％）

　当期益 2,515 （＋92.6％）

〔通期予想〕

　売上高 78,500 （＋0.1％）

　営業益 3,800 （＋1.3％）

　経常益 3,650 （△7.1％）

　当期益 1,800 （△28.0％）

　当期純利益の大幅増益は、2014年12月に島田工場で発生したチップサイロ火災事故の受取保険金を特別利益に計上したことなどによる。

○産業素材…主力の段ボール原紙は天候不順などにより特定需要商品が低調で、販売量は前年割れ。クラフト紙は季節需要商品などの販売量が増加した。

○特殊素材…特殊印刷用紙は、新製品の投入と地道な拡販活動を継続して実施しているが、情報発信媒体のデジタル化に伴う採用手控えなどにより販売量・金額ともに前年同期を下回った。特殊機能紙も、一部の用紙に需要回復傾向が見られるものの、引き続き厳しい環境が続いており販売量・金額ともに前年割れ。

○生活商品…ペーパータオルは、ユーザーニーズに沿った製品の提供により販売量・価格ともに前年同期並みで推移。トイレットペーパーは、販売量は減少したものの価格の維持に努めた。

【紙流通】

●日本紙パルプ商事

〔第2四半期〕

　売上高 233,495 （△8.5％）

　営業益 3,495 （＋16.4％）

　経常益 3,707 （＋19.4％）

　当期益 2,146 （＋38.7％）

〔通期予想〕

　売上高 520,000 （＋2.6％）

　営業益 8,500 （＋33.2％）

　経常益 8,000 （＋14.2％）

　当期益 5,000 （＋47.1％）

○国内卸売…売上高は、印刷用紙の販売量減少により前年同期比△3.0％。経常利益は販管費の削減により＋0.4％。

○海外卸売…円高環境下での為替換算の影響に加え、米国・中国事業の販売減により、売上高は前年同期比△19.1％、経常利益は△1.5％。

○製紙および加工等…売上高は、段ボール加工事業の不採算部門の整理などにより前年同期比△7.7％、経常利益は再生家庭紙事業の採算改善などにより＋84.6％。

○資源および環境…売上高は、7月に営業運転を開始した岩手でのバイオマス発電事業による増収があったものの、古紙輸出が減少し前年同期比△7.3％。経常利益は持分法投資利益の減少もあり△33.8％。

○不動産賃貸…テナントビルの稼働率上昇により、売上高は前年同期比＋12.0％、経常利益は＋467.0％。

●国際紙パルプ商事

〔第2四半期〕

　売上高 177,975 （△8.2％）

　営業益 605 （△44.3％）

　経常益 766 （△51.5％）

　当期益 861 （△14.0％）

〔通期予想〕

　売上高 354,000 （△9.2％）

　営業益 1,400 （△7.7％）

　経常益 1,500 （△19.1％）

　当期益 1,000 （△17.7％）

○国内拠点紙パルプ等卸売…売上高は前年同期比△4.3％、営業利益は△23.0％。紙分野は、印刷用紙販売が減少する中、コピー用紙の好調により販売量はほぼ横ばい。しかし需要が首都圏に集中する傾向が続き、地方需要が減少したことなどから、販売金額は前年割れ。板紙は猛暑で飲料関係が好調だったが、主な輸出先であるアジアや北米向けが不振で、販売量・金額ともに減少。古紙は天候不順による発生減少の影響もあり、販売金額が減少。

○海外拠点紙パルプ等卸売…売上高は前年同期比△26.5％、営業損益は△1億6,600万円。米国は段ボール原紙など輸入販売が比較的堅調だったものの、輸出が伸びず、全体としては低調。東南アジアは、多くの品種で供給過多に伴う価格下落に見舞われ、売上が伸び悩んだ。東アジアは、全般的な需要低迷から香港では紙を中心に売上が減少、中国も事業構造改革に伴う得意先の選別などにより大幅減収。

　通期予想は、2Qの実績と需要動向、為替動向などを総合的に判断し、5月公表の前回予想を売上高および利益の全段階で下方修正した。修正額（単位100万円）は、売上高△19,000、営業益△700、経常益△600、当期益△300。

●平和紙業

〔第2四半期〕

　売上高 9,479 （△5.4％）

　営業益 91 （△20.3％）

　経常益 129 （△14.8％）

　当期益 78 （△11.3％）

〔通期予想〕

　売上高 20,500 （＋1.0％）

　営業益 343 （＋7.3％）

　経常益 398 （＋0.9％）

　当期益 261 （＋10.0％）

　国内外の景気押し下げ要因のほか、需要構造の変化もあり、前年同期実績を上回ったのはファインボードのみだった。

○ファンシーペーパー…主力の書籍向けおよび各種販促物用途が低調に推移したほか、海外向けが中国景気の減速を受け減少、他の用途や地区で補えず、売上高は前年同期比△7.0％。

○ファインボード…高級パッケージ用途の販売が増加し、売上高は前年同期比＋3.8％。

○高級印刷紙…海外への販売が減少し、CD/DVDブックレット、商業印刷物、名刺カード類用途も低調で、売上高は前年同期比△4.1％。

○ベーシックペーパー…パッケージ向けと紙製品用途が増加したものの、商業印刷物用途が減少し、売上高は前年同期比△0.4％。

○技術紙…耐水撥水紙、合成紙などが増加したが、証券用紙や各種製造用工程紙の需要の変動幅が大きく、販売が前年より大幅に減少、売上高は前年同期比△15.7％。

○その他…家庭紙はほぼ横ばいながら、製紙関連資材や各種紙加工製品などが減少し売上高は前年同期比△21.6％。

●共同紙販ホールディングス

〔第2四半期〕

　売上高 7,772 （＋0.2％）

　営業益 8 〈△39〉

　経常益 26 〈△19〉

　当期益 15 〈△7〉

〔通期予想〕

　売上高 16,500 （＋2.5％）

　営業益 50 （＋190.1％）

　経常益 70 （＋51.2％）

　当期益 50 （＋13.4％）

　構造的な国内紙需要の低迷に苛まれながらも、卸商の本分である小口需要を中心に引き続きキメ細かくフォローしてきた結果、売上高は前年同期をわずかに上回った。また人件費ではノー残業デー制度の浸透効果、物流費では営業車輌の経費見直しなどにより販管費をトータルで2.4％削減。さらに前年同期のような特別損失の計上もなかったことから、利益面では営業・経常・当期の各段階とも黒字に転換した。

　洋紙卸売事業のうち、印刷用紙は販売量が前年同期比＋6.7％、販売金額が同＋0.5％。情報用紙は数量が同△0.2％、金額が同±0.0％。洋紙卸売事業全体では数量が＋4.4％、金額が＋0.3％となっている。●セ　キ

〔第2四半期〕

　売上高 5,519 （△6.9％）

　営業益 62 （△77.6％）

　経常益 143 （△61.9％）

　当期益 84 （△25.9％）

〔通期予想〕

　売上高 11,950 （△1.3％）

　営業益 390 （△24.4％）

　経常益 533 （△23.7％）

　当期益 310 （△19.7％）

　首都圏・関西圏での印刷関連事業の営業強化を継続しつつ、四国圏内でも既存取引先への印刷需要掘り起こしを図ったが、地方の印刷関連需要減退に歯止めがかからず減収となった。利益は、緊急性の高い情報セキュリティ強化に関する費用や、昨年10月に行ったM&Aによるのれん償却費の計上などにより減益となった。当期益の減益幅が小さいのは、前年同期に情報セキュリティ対策費を計上したため。

○印刷関連…売上高は前年同期比△6.9％。営業利益は同△65.5％。

○洋紙・板紙販売関連…市況悪化や競争激化により、売上高は前年同期比△9.8％、営業損益は△300万円。

○出版・広告代理関連…売上高は前年同期比△18.8％、営業損益は△3,600万円。

○カタログ販売関連…オフィス関連用品通信販売業者への積極アプローチや新規顧客開拓に努めた結果、売上高は前年同期比＋6.3％、営業利益は＋11.7％。

 

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future12/5号」より