大王製紙は、CNF(=セルロースナノファイバー)の用途開発のため、清水建設と共同で、大王グループのダイオーロジスティクス(=DLC)本社ビルの新築工事にCNF配合コンクリートを活用し、コンクリート打設時の施工性が改善できることを確認した。
大王製紙のCNF水分散液『ELLEX(エレックス)-S』は、静置状態では高粘度で、力がかかると粘度が低下するという特性を持つ。この特性を活かした用途展開として、コンクリートのほか塗料、インキ、化粧品などに粘度調整剤として配合し、流動性の改善につなげる使い方が期待されている。
今回の取組みでは、DLC本社ビルの新築工事で実際に『ELLEX-S』を配合したコンクリートを活用。門塀、土間、境界壁、機械基礎などに使用したところ、コンクリートの流動性がよくなった結果、打設時の施工性を改善できた。清水建設からは、「コンクリート打設時間の短縮、現場労務の改善を図ることができた。施工性、出来型ともに良好で、基準以上の強度も確認できた」との評価を得た。
大王製紙はこの結果をもとに、今後もコンクリートへのCNF配合効果を検証し、『ELLEX-S』の粘度調整剤としての用途拡大につなげていく考え。 あわせて、自動車、家電製品などさまざまな分野への用途展開も進めていく。
三島工場で火災が発生
大王製紙は、5月23日に三島工場(愛媛県四国中央市)で発生した火災について、被害状況などを発表した。
火災は18時50分頃、工場内にある燃料サイロ周辺のコンベア付近で発生し、22時34分に鎮圧。人的および環境面の被害はなく、燃料搬送設備の一部が損傷したが、被害は軽微で生産および製品供給への影響は出ていない。業績への影響も軽微の見込み。発生原因は現在調査中で、同社では「発生原因を特定の上、再発防止策を策定する」としている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/13号」より