大王製紙は、日本製紙クレシアが大王製紙に対しトイレットペーパーの特許を侵害していると提訴した件について、裁判で争っていくことを発表した。
　報道などによると日本製紙クレシアは、大王製紙が4月に発売した『エリエール i：na（イーナ）トイレットティシュー 3.2倍巻 ダブル』などが、日本製紙クレシアの『スコッティ フラワーパック3倍長持ちトイレットロール』（2016年発売）の特許を侵害したとして、製品の製造・販売の差し止めと3,300万円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴。
　これに対し大王製紙は、「侵害の理由はない」と特許侵害を否定。また、「本件については、これまで日本製紙クレシアとの間で当社の正当性を主張しつつも、誠意をもって協議に応じてきた。今後は裁判の中で当社の正当性を主張していく」と述べている。
　提訴の対象となった長尺トイレットペーパーは、交換や購入の手間が減らせるため近年需要が伸長している。また輸送効率がよく、CO2削減につながるなど環境面でもメリットが多い。大王製紙はこれまで、長尺タイプのトイレットペーパーとして、1997年に『エリエールトイレットティシューコンパクト8R（1.5倍巻）』を、2014年に『エリエール i：naトイレットティシュー2倍巻』を発売してきた。SDGsに貢献する商品として今後も普及させたい意向で、「本訴訟が終了次第、SDGs推進のため、当社が保有する長巻タイプに関する技術について、広く業界全体で使用してもらうことを検討していく」としている。

家庭紙子会社2社を合併
　大王製紙は、家庭紙生産関連子会社のエリエールペーパーと赤平製紙を、2023年1月1日付で合併させる。これにより生産体制を強化し、組織の見直しを図る。合併方式は、エリエールペーパーを存続会社、赤平製紙を消滅会社とする吸収合併方式。両社の概要は次記の通り。
【エリエールペーパー】▽所在地：静岡県富士宮市▽事業：家庭用紙製品、業務用紙製品、ウエットティシュの製造販売▽資本金：3,000万円▽設立：1939年▽株主：大王製紙100％▽従業員：512名▽22年3月期売上高：268億5,500万円
【赤平製紙】▽所在地：北海道赤平市▽事業：家庭用紙製品の製造販売▽資本金：3,000万円▽設立：1989年▽株主：大王製紙100％▽従業員：82名▽22年3月期売上高：32億9,100万円

いわき大王ボイラー事故操業面の過失認められず
　大王製紙は、9月6日にいわき大王製紙で発生したボイラー爆発事故について、続報を発表した。
　それによると、爆発した4号ボイラーは全損し、清掃作業をしていた子会社社員１名が軽い火傷を負ったが、工場外部への環境影響はなかった。また、抄紙機3台は翌7日から順次運転を再開しており、 製品供給に影響は出ていない。
　警察の現場検証は継続中で、9月22日現在、操業面での過失は認められていない。爆発原因は判明しておらず、設備メーカーなどと事故原因調査の進め方を協議中。設備復旧の見込みもたっておらず、今後は設備撤去に伴う損失、機械保険の入金、エネルギーコストの悪化などが見込まれるが、詳細は判明していないため引き続き精査していく。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future10/10号」より