王子ホールディングスは、いずれも木材原料由来の素材であるリン酸エステル化セルロースナノファイバーと天然ゴムの複合材を開発した。
天然ゴムは伸縮性や耐摩耗性に優れ、かつ柔らかい特徴を持つ素材。タイヤやホース、コンベアベルトなどさまざまな用途に使われており、その多くの用途で、柔らかさだけでなく硬さも重要な性能となっている。
天然ゴムの硬度を上げる手法としては、一般的にカーボンブラック(=CB)を混合する方法が用いられるが、CBを使うと特徴の一つである“伸び”が損なわれる。また、化石燃料由来であるCBからバイオ素材への転換要求も高まっており、そうしたニーズを満たす素材として開発されたのが、今回の複合材。
王子HDは、信州大学・野口徹特任教授との共同研究により、CBの代替として独自のバイオ素材であるリン酸エステル化CNFを用い、天然ゴムとの複合化に成功。天然ゴムの伸びを損なわず、CB配合並みの硬さも備えた複合材を開発した。今後、環境配慮型素材として自動車産業など幅広い分野への展開を見据え、サンプル提供を開始する。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/7号」より