=2024年3月期第3四半期①=
紙パ関連各社の2024年3月期第3四半期決算(23年4~12月)の発表が始まった。今号より順不同で紹介していく。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■王子ホールディングス
〔第3四半期〕
売上高 1,292,397 (△0.3%)
営業益 56,363 (△5.3%)
経常益 65,446 (△4.5%)
当期益 42,330 (+8.2%)
〔通期予想〕
売上高 1,760,000 (+3.1%)
営業益 82,000 (△3.3%)
経常益 90,000 (△5.3%)
当期益 57,000 (+0.9%)
価格修正などプラス要因はあったものの、主にニュージーランドのPan Pac Forest Productsのサイクロン被災やパルプ市況悪化により減収となった。海外売上高比率は前年同期を4.1ポイント下回る34.5%。
○生活産業資材…売上高+3.0%、営業利益155億円(前年同期は4億円)。多くの品種で販売量が減少したが、価格修正により増収。紙おむつ売上高は、子ども用は前年並み、大人用は増収。海外事業は、段ボール原紙が市況悪化で減収、段ボールは東南アジアの需要低迷で減収、紙おむつは増収。
○機能材…売上高+3.8%、営業利益△41.7%。国内事業は特殊紙、感熱紙ともに価格修正などにより増収。海外事業の感熱紙も価格修正で増収。
○資源環境ビジネス…売上高△16.3%、営業利益△64.2%。国内事業は、溶解パルプの堅調やバイオマス発電所稼働開始による増収もあったが、木材事業で建設・梱包用の木材が低調に推移し、売上高は前年並み。海外事業はパルプ市況悪化に加え、ニュージーランドのサイクロン被害で製造設備が復旧途上のため減収。
○印刷情報メディア…売上高+9.1%、営業利益121億円(前年同期比+168億円)。国内事業は価格修正により増収。海外は江蘇王子製紙で経済回復が鈍く、売上高は前年並み。
通期予想は、2023年11月公表の業績予想から変更なし。
■日本製紙
〔第3四半期〕
売上高 874,516 (+3.0%)
営業益 9,307 〈△22,766〉
経常益 7,604 〈△19,541〉
当期益 △8,297 〈△25,700〉
〔通期予想〕
売上高 1,170,000 (+1.5%)
営業益 19,000 〈△26,855〉
経常益 15,000 〈△24,530〉
当期益 15,000 〈△50,406〉
価格修正が寄与して増収となり、これに原価改善や固定費削減のコストダウン効果が加わり営業益が黒字転換した。一方、Opal社のグラフィック用紙事業撤退に係る特別退職金など9,557百万円の特別損失が発生し、最終損益は赤字。
○紙・板紙事業…売上高+3.5%、営業利益8,084百万円(前年同期比+30,059百万円)。国内販売量は新聞用紙、印刷・情報用紙、板紙いずれも減少したが、価格修正により増収。
○生活関連事業…売上高+0.0%、営業損失△5,979百万円(前年同期比+640百万円)。家庭紙は価格修正により増収。液体用紙容器は、販売量は若干減少したが価格修正や充填機販売台数増加により増収。溶解パルプも増収。海外事業はOpal社のグラフィック用紙事業撤退で減収。
○エネルギー事業…売上高+21.5%、営業損失△269百万円(前年同期比+1,974百万円)。勇払のバイオマス専焼発電設備の運転開始などにより増収。
○木材・建材・土木建設関連事業…売上高+5.8%、営業利益+6.4%。燃料チップの需要増加などにより増収。
通期予想は、最近の業績動向などを踏まえて2023年5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、売上高△60,000、営業益△5,000、経常益△3,000。
■大王製紙
〔第3四半期〕
売上高 503,774 (+4.8%)
営業益 11,092 〈△17,927〉
経常益 6,569 〈△20,969〉
当期益 2,016 〈△24,041〉
〔通期予想〕
売上高 670,000 (+3.7%)
営業益 14,000 〈△21,441〉
経常益 8,000 〈△24,050〉
当期益 1,000 〈△34,705〉
○紙・板紙…売上高+6.8%、セグメント利益12,377百万円(前年同期比+23,057百万円)。紙・板紙事業、洋紙事業とも販売量は減少したものの価格改定で金額は増加。板紙・段ボールは、国内需要が低迷し、輸出も中国をはじめとする国際市場の停滞により販売量が減少したが、国内の価格修正浸透により金額はプラス。
○ホーム&パーソナルケア…売上高+4.3%、セグメント損失△3,338百万円(前年同期比+6,015百万円)。除菌関連商品やマスクの需要減少など、市場環境の変化により販売量が減少した製品はあったものの、価格改定の浸透により金額はプラス。海外事業は、ブラジルやトルコでは価格改定の浸透に加えて販売も増加して販売金額が増加したが、中国は経済低迷などにより減少。
○その他…売上高△14.2%、セグメント利益△3.1%。売電事業の外部向け販売減などにより減収減益。
通期予想は、2023年11月公表の業績予想から変更なし。
■中越パルプ工業
〔第3四半期〕
売上高 79,899 (+3.8%)
営業益 4,426 (+504.7%)
経常益 4,772 (+229.0%)
当期益 3,178 (+219.0%)
〔通期予想〕
売上高 106,000 (+0.3%)
営業益 4,800 (+85.0%)
経常益 5,500 (+61.9%)
当期益 3,600 (+18.0%)
印刷用紙を中心としたデジタル化などの構造的要因で販売量は減少したが、昨年来の価格改定により増収。利益面は、価格改定のほか減産下での効率操業やエネルギーコスト低減により増益となった。
○紙・パルプ製造事業…売上高+4.7%、営業利益3,992百万円(前年同期は70百万円)。新聞用紙は、販売量は減少したが金額は増加。印刷用紙は、経済活動は正常化したもののデジタル化の進行で数量的には減少。輸出は、東南アジアを中心とした需要減退と海外メーカーの販売攻勢により販売量・金額ともに減少。包装用紙は、販売量は減少したが金額は増加。壁紙は堅調。パルプは数量・金額ともに増加。
○発電事業…売上高△1.7%、営業利益△46.3%。燃料価格の高騰などにより大幅減益。
○その他…売上高+1.0%、営業利益+366.9%。工場の定期点検の影響で紙断裁選別包装・紙運送事業の取扱量は減少したが、設備設計施工関連事業の受注増などにより売上高は前年並み。利益は、人件費などの経費低減もあり増益。
通期予想は、2023年11月公表の業績予想から変更なし。
【製紙関連】
■レンゴー
〔第3四半期〕
売上高 691,742 (+7.2%)
営業益 42,748 (+81.0%)
経常益 45,089 (+73.3%)
当期益 32,981 (+88.9%)
〔通期予想〕
売上高 930,000 (+9.9%)
営業益 47,000 (+81.1%)
経常益 49,000 (+70.8%)
当期益 32,000 (+56.7%)
○板紙・紙加工関連事業…売上高+6.8%、営業利益+138.3%。販売量は減少したが製品価格の改定により増収増益。
○軟包装関連事業…売上高+5.9%、営業利益+51.3%。製品価格の改定により増収増益。
○重包装関連事業…売上高△1.8%、営業利益△8.9%。石油化学関連需要の減少により減収減益。
○海外関連事業…売上高+12.9%、営業利益△2.1%。連結子会社の増加により増収となったが、固定費の増加などにより減益。
○その他の事業…売上高+0.6%、営業利益+6.3%。紙器機械の堅調などにより増収増益。
通期予想は、2023年5月公表の業績予想から変更なし。
■リンテック
〔第3四半期〕
売上高 203,529 (△6.0%)
営業益 6,516 (△50.8%)
経常益 7,398 (△51.4%)
当期益 3,994 (△63.9%)
〔通期予想〕
売上高 275,000 (△3.4%)
営業益 9,000 (△34.8%)
経常益 10,000 (△35.9%)
当期益 5,500 (△52.2%)
○印刷材・産業工材関連…売上高△3.4%、営業損失△979百万円(前年同期比△3,693百万円)。米国でのシール・ラベル用粘着製品の大幅減などにより減収。これに加え、国内で主原料価格の高止まりや物流コストの上昇もあり、損益は赤字。
○電子・光学関連…売上高△13.7%、営業利益△33.6%。大型テレビやスマホ、パソコン向けの需要減により減収。利益面は、生産設備の稼働率低下に伴う操業損失もあり大幅減益。
○洋紙・加工材関連…売上高△0.7%、営業損失△189百万円(前年同期比+820百万円)。販売量は低調だったが、価格改定効果もあり売上高はほぼ前年並み。損益は、原燃料価格や物流費の上昇により赤字。
通期予想は、2023年11月公表の業績予想から変更なし。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/26号」より