凸版印刷はこのほど、中食・惣菜製品向けの耐油性紙容器を開発、ファストフードやコンビニ業界に向け、本格販売を開始する。
近年は個食の増加などを背景に、コンビニやスーパーでの店内調理をはじめとする中食・惣菜市場は拡大を続けており、その市場規模は2014年に5兆円を超えると推定されている。
店頭販売される惣菜、特に揚げ物など油を含む食品の容器には、耐油性があり、かつ廃棄が容易な紙容器が多く使われているが、従来の紙容器は紙の表面全体に耐油加工した後に製函しているため、容器の折り部分で割れ(クラック)が生じ、ここから油が染み出しやすいという問題があった。
凸版印刷が開発した耐油性紙容器の最大の特徴は、印刷方式で耐油剤を塗布した点。独自開発した耐油剤を、紙容器の内面に印刷方式で塗布して紙繊維に浸透させ、耐油膜を形成している。耐油剤の材料選定と配合率、用紙の選定、生産条件など、独自のコーティング技術を組み合わせることによって耐油剤を均一に塗布できるため、従来の耐油性紙容器と比較して油の染み出しを1割以上軽減させた。また耐油剤を印刷方式で塗布するため、のりしろ部分への塗布を避け、接着性を向上できる。価格も、各種条件や生産方式を工夫することで、従来の耐油性紙容器とほぼ同等の価格を実現した。
凸版印刷はこの容器を、中食・惣菜製品のほかバターやマーガリンなど含油性の高い食品のパッケージとしても拡販していく意向で、2015年度に関連事業を含め約5億円の売上げを目指す。なお、この容器は本格販売に先立ち、大手コンビニで採用されている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future10/13号」より