大王製紙グループのエリエールプロダクトでは、商品開発部の氏家広大氏が、先頃開催された「第42回日本防菌防黴学会年次大会」で「ノロウイルスの不活化に関する研究」をポスター発表し、「ポスター賞」を受賞した。全99件のポスター発表のうち同社を含む3件が、「ポスター賞」を受賞している。
大王製紙グループは、ウイルス、細菌、カビなどの微生物を拭き取り除去するウェットワイパー類を各種開発している。この開発に取り組む中で、ノロウイルス不活化の評価系として、従来の「ネコカリシウイルス」に替わり「ノロウイルス様粒子」を用いることで、より安全かつ簡便・迅速な評価が可能となることを見出した。その研究成果を発表し、今回の受賞となったもの。
微生物類を拭き取り除去するウェットワイパーを設計する上で、含浸液の微生物に対する効果の検証は極めて重要。同社では、微生物の中でも特に感染力が強く、しばしば大流行を引き起こすノロウイルスに対する効果を、特に重
視して検証を進めている。しかし、ノロウイルスは感染する培養細胞が見出されておらず、不活化効果を評価する方法も確立されていないことから、ノロウイルスに対する不活化の評価を行う際は、一般的に「ネコカリシウイルス」で代用する手法が採用されている。しかしながらこの手法には、試験費用、評価期間がかかるといった問題があるため、同社では新たな評価系の構築に向け検討を進めていた。そして、ノロウイルスと構造的、抗原的に同等のノロウイルス様粒子(rNV-VLPs : recombinant Norovirus-Virus Like Particles)を用いることによって、実際のウイルスを使わず安全かつ簡便・迅速に評価できることかがわかった。この新たな評価系で既存のエタノール系処方の効果検証を行った結果、ネコカリシウイルスを用いた評価と同様の結果が得られ、高い有用性が認められたもの。
今回の受賞を受けてエリエールプロダクトの氏家氏は、「このような素晴らしい賞をいただき大変光栄。弊社は大王製紙グループの一員として、暮らしに役立つ商品を研究・開発そして製造している。私たちの商品で一人でも多くの人
に笑顔になっていただくことが喜びであり、今後も誠心誠意努めていく」と、受賞の喜びを語った。
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/1号」より