王子ホールディングスは、欧州におけるパッケージング事業の基盤構築のため、フィンランドのWalki Holding Oy（＝Walki社）を買収する。同社の全株式を取得する株式譲渡契約を、米投資ファンドOne Equity Partnersとの間で締結した。
　環境規制が進む欧州では、「包装・包装廃棄物法令」（＝PPWR：Package and Package Waste Regulation） の施行を前に、リサイクル可能・リユース可能・コンポスト可能な包装への転換が急速に進んでいる。王子が買収するWalki社には、EU包装規制に適合する資材について、欧州トップクラスの製造ノウハウがある。
　Walki社は、バリア性を備えながらリサイクル可能な紙パッケージをつくる加工技術を持つ。同社の紙製品は欧州市場の大手ブランドに多数採用されており、環境配慮型包装資材として着実にシェアを伸ばしている。特に、環境対応・食品接触に関する製品開発力と市場開拓力に優れ、近年はエンドユーザーを顧客とする川下分野へ積極的に進出している。王子HDは、Walki社の加工技術と王子のバリア技術を融合させ、使い捨てプラスチック包装から紙包装への切替えを推進する考え。
　PPWRは、包装資材のリサイクル率を2025年までに50％とするEU勧告で、素材毎のリサイクル率について拘束力のある目標値が提案されており、紙・段ボールは30年末までに「85％」となっている。
　現在、王子グループの主たる事業拠点であるアジア、インド、オセアニア地域でも、30年までに欧州と同様のプラスチック包材規制が本格波及すると見込まれており、王子グループは、Walki社の加工技術を活用した新たな「環境対応包装ソリューション」 を提案ラインアップに加え、豪亜・インド市場での拡販も狙う。
【Walki社の概要】▽所在地：フィンランド・エスポー（製造拠点8ヵ国17工場）▽事業：原紙への塗工、ラミネート（プラスチック・アルミ）、印刷、その他加工の製造販売▽設立：1930年▽2022年12月期売上高：7億500万ユーロ（1,114億円）▽従業員：約1,700名
【Walki社の3事業】▽消費者向けパッケージ…食品・日用品向けリサイクル可能バリア性紙包装資材▽産業用パッケージ…産業製品向け環境配慮型紙包装（機能性段ボールなど）▽特殊品…建設産業向け高性能断熱材、自動車向け内装材など
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future11/13号」より