=紙パの第3四半期④=
前号に続き、紙パルプ関連各社の2022年3月期第3四半期(21年4~12月)決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【紙加工】
■トーモク
〔第3四半期〕
売上高 153,094 (+21.3%)
営業益 5,567 (+39.8%)
経常益 5,843 (+40.2%)
当期益 3,940 (+45.7%)
〔通期予想〕
売上高 210,000 (+19.6%)
営業益 9,000 (+24.5%)
経常益 9,200 (+18.9%)
当期益 6,000 (+22.8%)
○段ボール…売上高+2.9%、営業利益+1.3%。食料品向けの需要が増加したことなどにより販売量は増加。
○住宅…売上高+91.8%、営業利益211百万円(前年同期比+1,389百万円)。感染症の影響で持家を中心に需要が伸長し、スウェーデンハウスの受注・売上棟数が増加したほか、前期末に子会社化した玉善の売上も加わったことなどにより大幅増収。
○運輸倉庫…売上高+6.6%、営業利益+8.7%。新拠点のTLP群馬、TLP札幌が稼働したことや、宝樹運輸の子会社化により増収。
通期予想は21年5月発表の業績予想から変更なし。
■ナカバヤシ
〔第3四半期〕
売上高 45,425 (△0.7%)
営業益 796 (△37.5%)
経常益 1,241 (△25.2%)
当期益 453 (△49.7%)
〔通期予想〕
売上高 65,000 (+2.1%)
営業益 2,650 (+3.9%)
経常益 3,100 (+2.5%)
当期益 1,600 (+3.1%)
原材料価格や人件費の上昇で原価率が悪化し、販管費も増加して減益となった。なお、特別利益として固定資産売却益など229百万円、特別損失として独禁法関連損失引当金繰入額など320百万円を計上している。
○ビジネスプロセスソリューション事業(BPOサービス、オリジナル手帳・ノベルティ制作など)…売上高△0.8%、営業利益+93.1%。BPO業務は、緊急事態宣言が解除され受注が回復。包材パッケージも伸長。年賀状の印刷請負やカレンダーは横ばい。図書館ソリューション業務は堅調。企業向け手帳やレジロールは減少。
○コンシューマーコミュニケーション事業(ノート、アルバム、文具など)…売上高+0.5%、営業利益△55.4%。サンレモンの連結化で観光施設への売上が増加。ファイルやノートは学校再開で堅調。市販手帳は収益認識に関する会計基準の適用に伴い利益が減少。全体的には原材料価格上昇や円安の影響で減益。
○オフィスアプライアンス事業…売上高△1.1%、営業利益△2.7%。
○エネルギー事業…売上高△11.1%、営業利益△72.4%。
○その他…売上高△38.8%、営業損失△32百万円(前年同期比△2百万円)。
通期予想は21年5月公表の業績予想から変更なし。
■朝日印刷
〔第3四半期〕
売上高 29,049 (△3.0%)
営業益 1,804 (+12.4%)
経常益 2,068 (+8.3%)
当期益 1,488 (+14.8%)
〔通期予想〕
売上高 38,200 (△4.8%)
営業益 2,030 (+1.3%)
経常益 2,280 (△5.3%)
当期益 1,650 (+0.6%)
内製化を推進して製造経費を見直す中、販管費が新型コロナの影響により前年並みだったこともあり、利益は増加した。
○印刷包材事業…売上高+1.5%、セグメント利益+5.2%。医療用向けは堅調だが、OTC向けは減収。化粧品向けはプラス。
○包装システム販売事業…期ズレや世界的な半導体不足に伴う設備の納品遅れなどにより、売上高△47.4%、セグメント利益△24.9%。
○その他(人材派遣事業)…売上高+9.1%、セグメント利益+24.1%。
通期予想は21年11月公表の業績予想から変更なし。
■昭和パックス
〔第3四半期〕
売上高 16,135
営業益 1,110
経常益 1,280
当期益 899
〔通期予想〕
売上高 21,300 (+8.6%)
営業益 1,240 (+6.0%)
経常益 1,400 (+6.0%)
当期益 970 (+7.7%)
収益認識会計基準等の適用に伴い、前年同期比を記載していない。緩やかに上向いた工業生産動向を反映した業績となり、売上高は増加した。損益面も、売上の増加と、樹脂原料の値上がりの影響をまだ大きくない範囲にとどめていること、経費抑制を継続したことにより増益。なお、次記の事業別業績の前年同期比は、従来基準による前年同期の数字と比較している。
○重包装袋…売上高+8.5%。クラフト紙袋の売上量は+4.5%。合成樹脂、化学薬品、製粉などの用途が増加し、米麦、塩、その他鉱産物などの用途が減少した。子会社の売上量は、九州紙工△1.8%、タイ昭和パックス+21.8%、山陰製袋工業+3.9%。
○フィルム製品…売上高+9.7%。売上量は産業用が増加、農業用は微減で、合計+7.0%。
○コンテナー…売上高+6.2%。ワンウェイ・フレコン「エルコン」の売上量は+7.9%。
○不動産賃貸…売上高は横ばい。
通期予想は21年10月公表の業績予想から変更なし。
■大石産業
〔第3四半期〕
売上高 14,636 (+5.1%)
営業益 1,040 (+11.8%)
経常益 1,242 (+19.7%)
当期益 835 (+20.7%)
〔通期予想〕
売上高 19,841 (+6.7%)
営業益 1,266 (+4.5%)
経常益 1,472 (+4.8%)
当期益 1,054 (+11.4%)
コロナ禍で落ち込んだ需要の回復に加え、生活スタイルの変化などに伴う需要の増加もあり、増収増益となった。通期予想は21年5月公表の予想から変更なし。
■ニッポン高度紙工業
〔第3四半期〕
売上高 13,568 (+19.0%)
営業益 3,265 (+66.3%)
経常益 3,333 (+75.2%)
当期益 2,333 (+68.9%)
〔通期予想〕
売上高 17,500 (+9.9%)
営業益 3,700 (+34.0%)
経常益 3,700 (+32.3%)
当期益 2,600 (+29.6%)
アルミ電解コンデンサ用セパレータは、車載向けや産業機器向けを中心に好調が継続したほか通信設備関連の需要も堅調に推移、売上高は+26.0%となった。機能材は、リチウムイオン電池用セパレータが好調に推移したものの、海外での風力発電向け電気二重層キャパシタ用セパレータが減少したため、売上高は△2.1%。利益は、原材料や燃料価格上昇の影響が見られ始めたものの、稼働率向上、原価率の低減により大幅増益。通期予想は21年7月公表の業績予想から変更なし。
■野崎印刷紙業
〔第3四半期〕
売上高 10,051 (+1.3%)
営業益 131 (+661.6%)
経常益 138 (+209.1%)
当期益 57 (+269.8%)
〔通期予想〕
売上高 13,400 (+2.2%)
営業益 95 (+8.8%)
経常益 114 (△7.8%)
当期益 39 (△51.5%)
経済活動の停滞で販売が減少した部門もあったが、巣ごもり需要の増加などで受注が増えた部門もあり、売上高は微増。収益面は、販売価格を修正したことや、生産部門の効率化、業務プロセスのデジタル化、自動化などを推進した結果、利益も改善した。
○商業印刷部門…売上高△11.6%。イベント・展示会などの中止・延期・規模縮小の影響により需要が減少。紙媒体からデジタル化への動きが加速した影響も受けた。
○包装資材および紙器、紙工品部門…売上高△0.1%。軟包装、紙器類は、物流業、食品メーカーなどからの受注増により緩やかに回復。袋類は、消費構造の変化を受けて需要が後退したことと、レジ袋有料化により需要が大きく減少。
○情報機器・サプライ品部門…売上高+4.4%。工業系製造業、食品流通業界、物流業の回復傾向で需要が増加。情報機器類の需要も堅調で、特に新型小型プリンタが順調。
○その他…衛生関連商品などの需要増により売上高+24.8%。
通期予想は21年4月公表の業績予想から変更なし。
■中央紙器工業
〔第3四半期〕
売上高 8,261 (+24.6%)
営業益 562 (約14.8倍)
経常益 622 (+536.5%)
当期益 424 (+467.7%)
〔通期予想〕
売上高 10,600 (+14.7%)
営業益 600 (+259.1%)
経常益 660 (+174.8%)
当期益 435 (+154.3%)
自動車関連の特需を含め需要が回復基調で推移し、固定費削減などの成果もあって、売上高、利益ともに前年同期を上回る結果となった。通期予想は21年5月公表の業績予想から変更なし。
■ハビックス
〔第3四半期〕
売上高 8,195 (+0.5%)
営業益 △14 〈618〉
経常益 18 (△96.8%)
当期益 74 (△81.4%)
〔通期予想〕
売上高 11,100 (+4.3%)
営業益 △70 〈768〉
経常益 △40 〈824〉
当期益 30 (△94.7%)
主要顧客の外食産業が依然厳しい状況。衛生材料市場も景気低迷による買い控えや出生率低下、中国での日本製紙おむつ需要減により、販売量が大幅に落ち込んだ。また、原燃料価格高騰が収益を大きく圧迫し、全拠点で品質改善・生産性向上・コスト削減などの抜本的改革を推進したものの、業績への効果は限定的だった。
○不織布関連事業…売上高+3.2%、セグメント利益△9.4%。パルプ不織布は、外食産業が低迷する中、業務用クッキングペーパーやおしぼり向けの受注獲得に注力した。
○紙関連事業…売上高△2.6%、セグメント損失△72百万円(前年同期比△562百万円)。コロナ禍で外食産業向けの受注が大幅に減少したほか、子供用紙おむつ市場が停滞し、輸出用の紙おむつ向け製品も低迷した。パルプ価格が高騰・高止まりし利益も大幅減。
通期予想は21年11月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は、売上高△400、営業益△90、経常益△80、当期益△40。新型コロナの新たな変異株の拡大で、収束時期が再び不透明となっていることから、売上高を下方修正した。利益も、売上高の減少と原燃料価格の高騰により、前回予想を下回る見込み。
■大村紙業(非連結)
〔第3四半期〕
売上高 3,792 (+5.5%)
営業益 246 (+29.7%)
経常益 250 (+28.7%)
当期益 162 (+25.9%)
〔通期予想〕
売上高 5,000 (+4.1%)
営業益 353 (+30.7%)
経常益 353 (+28.0%)
当期益 219 (+34.1%)
生産量は、段ボールシートが+3.9%の37百万㎡、段ボールケースが+8.2%の25百万㎡。売上高は、段ボールシート655百万円、段ボールケース2,424百万円、ラベル131百万円、その他(主に包装資材)580百万円。通期予想は21年5月に公表した業績予想から変更なし。
株式会社 紙業タイムス社 「Future3/14号」より