=紙パの第1四半期②=
前号に続き、紙パ関連各社の2023年3月期第1四半期(22年4~6月)決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は特に記載がない限り対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■大王製紙
〔第1四半期〕
売上高 147,309 (+1.6%)
営業益 291 (△97.3%)
経常益 1,381 (△86.8%)
当期益 1,361 (△79.8%)
〔通期予想〕
売上高 660,000 (+7.8%)
営業益 3,000 (△92.0%)
経常益 500 (△98.7%)
当期益 △4,000 〈23,721〉
○紙・板紙…売上高+1.6%、セグメント利益△70.9%。価格修正の浸透で販売金額は増加したが、原燃料価格の高騰で大幅減益。
○ホーム&パーソナルケア…売上高+2.2%、セグメント損失△2,126百万円(前年同期比△5,818百万円)。価格修正の浸透や、海外事業の販売伸長で販売金額は増加も、製造コストの上昇で赤字化。
○その他…売上高△3.7%、セグメント利益△14.1%。
通期予想は、5月公表の業績予想を修正した。修正額(単位100万円)は売上高+10,000、営業益△22,000、経常益△20,500、当期益△14,000。売上高は微増を見込むものの、利益は原燃料のコストアップで前回予想を下回る見通し。
■北越コーポレーション
〔第1四半期〕
売上高 65,843 (+5.7%)
営業益 3,658 (△22.4%)
経常益 5,927 (△14.9%)
当期益 3,690 (△50.8%)
〔通期予想〕
売上高 280,000 (+7.0%)
営業益 11,000 (△46.2%)
経常益 14,000 (△52.6%)
当期益 10,000 (△52.8%)
○紙パルプ事業…売上高+6.5%、営業利益△22.6%。価格改定と輸出品の価格上昇で増収となったが、原燃料価格高騰で減益。
○パッケージング・紙加工事業…売上高△9.9%、営業損失△59百万円(前年同期比△65百万円)。事業譲渡や原材料高で減収減益。
○その他…売上高+12.8%、営業利益+6.5%。主に木材事業で外部受注が増加し増収増益。
今後の業績予想は、2Qは海外での紙・パルプ販売価格の上昇などにより営業・経常・当期益が5月公表の前回予想を上回る見込みだが、通期予想は、原燃料価格や為替相場の動向が不透明なため、前回予想を据え置いた。2Qの業績予想(単位100万円)は、営業益1,500(前回)→4,500(今回)、経常益2,000→5,500、当期益1,000→2,000。
■特種東海製紙
〔第1四半期〕
売上高 21,068 (+11.9%)
営業益 802 (△31.3%)
経常益 1,722 (△6.5%)
当期益 2,587 (+76.3%)
〔通期予想〕
売上高 87,000 (+7.8%)
営業益 3,100 (△26.7%)
経常益 4,000 (△30.2%)
当期益 3,900 (△25.7%)
○産業素材事業…売上高+16.3%、営業利益△9.5%。段ボール原紙、クラフト紙ともに販売は堅調。
○特殊素材事業…売上高+10.5%、営業利益△30.2%。特殊印刷用紙の売上は前年並みを確保。特殊機能紙は増収となった。利益は原燃料価格上昇で前年割れ。
○生活商品事業…売上高+6.9%、営業利益△72.8%。販売量は、ペーパータオルとトイレットペーパーは増加、ラミネートなどの加工品は大幅増。利益は原燃料高で減益。
○環境関連事業…売上高+13.4%、営業損失△98百万円(前年同期比+46百万円)。
通期予想は、5月公表の業績予想から変更なし。
【製紙関連】
■リンテック
〔第1四半期〕
売上高 69,497 (+11.4%)
営業益 5,393 (△15.8%)
経常益 6,931 (△0.1%)
当期益 5,159 (△5.8%)
〔通期予想〕
売上高 285,000 (+11.0%)
営業益 21,500 (△0.4%)
経常益 21,500 (△5.3%)
当期益 15,500 (△6.9%)
○印刷材・産業工材関連…売上高+23.4%、営業利益△49.4%。印刷・情報材事業は、シール・ラベル用粘着製品が国内で堅調で、海外も米国での買収効果により大幅伸長。産業工材事業は、海外でウインドーフィルムや自動車用粘着製品が堅調だったが、国内は自動車減産の影響で大幅減。
○電子・光学関連…売上高△1.4%、営業利益+2.4%。半導体関連粘着テープと関連装置は堅調も、積層セラミックコンデンサ関連テープは低調。
○洋紙・加工材関連…売上高+1.5%、営業損失△27百万円(前年同期比△756百万円)。洋紙事業は減収、加工材事業は増収。利益面は原燃料価格上昇で赤字。
通期予想は、5月公表の業績予想から変更なし。
■巴川製紙所
〔第1四半期〕
売上高 8,894 (+18.0%)
営業益 761 (+78.1%)
経常益 944 (+61.6%)
当期益 1,150 (+175.9%)
〔通期予想〕
売上高 34,500 (+5.2%)
営業益 1,500 (△24.3%)
経常益 1,550 (△32.9%)
当期益 1,500 (△9.1%)
トナー事業や半導体関連事業の好調に加え、円安による海外売上増もあり増収となった。利益面は、9号抄紙機停機による構造改革効果や、円安効果を含む増収、価格転嫁により増益。一昨年に休止した米国トナー工場の跡地の売却益があり、当期益は大幅増益。
○トナー事業…売上高+43.3%、セグメント利益+255.9%。米国工場閉鎖による固定費削減で増益。
○電子材料事業…売上高+3.6%、セグメント利益△50.2%。光学フィルム関連の販売減が影響して減益。
○機能紙事業…売上高+8.5%、セグメント損失△28百万円(前年同期比+15百万円)。設備停機などにより赤字幅を圧縮。
○セキュリティメディア事業…売上高△6.5%、セグメント利益+23.5%。
○新規開発事業…売上高+39.8%、セグメント損失△111百万円(前年同期比△8百万円)。
○その他の事業…売上高+25.1%、セグメント利益△0.1%。
通期予想は、5月公表の業績予想を7月に上方修正している。修正額(単位100万円)は、売上高+1,000、営業益+500、経常益+450、当期益+500。半導体やトナー事業の好調を踏まえて修正した。
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/5号」より