=2025年3月期第1四半期②=
前号に続き、紙パ関連各社の2025年3月期第1四半期決算(24年4~6月)を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙】
■三菱製紙
〔第1四半期〕
売上高 45,003 (△8.7%)
営業益 △70 〈326〉
経常益 354 (△77.2%)
当期益 △23 〈917〉
〔通期予想〕
売上高 197,000 (+1.8%)
営業益 8,000 (+47.9%)
経常益 8,000 (+12.7%)
当期益 8,000 (+91.8%)
○機能商品事業…売上高△12.8%、営業利益△7.5%。機能材関連製品では、蓄電デバイス用セパレータ、リライトメディア、エアフィルターの販売金額は増加。テープ原紙は販売量・金額ともに増加。一方、水処理膜基材は中国での競争激化などにより販売金額が減少。化粧板原紙は販売量・金額ともに減少。イメージング関連製品は、インクジェット関連、ノーカーボン紙、PPC用紙は需要減少により、販売量・金額ともに減少。感熱紙はPOS市場用途の需要取込みにより販売量・金額ともに増加。ドイツ事業は、フレンスブルク工場売却に伴い、販売量・金額ともに減少。
○紙素材事業…売上高△4.7%、営業損失△860百万円(前年同期比△276百万円)。印刷用紙の国内販売は販売量・金額ともに減少。輸出は円安環境下、販売量・金額ともに増加。市販パルプは海外市況回復で販売量・金額ともに増加。
○その他…売上高△4.1%、営業損失△12百万円(前年同期比△35百万円)。
通期予想は5月公表の前回予想から変更なし。
■中越パルプ工業
〔第1四半期〕
売上高 26,404 (+0.8%)
営業益 446 (△62.3%)
経常益 882 (△41.7%)
当期益 515 (△50.4%)
〔通期予想〕
売上高 112,000 (+3.9%)
営業益 4,600 (△25.5%)
経常益 4,900 (△28.2%)
当期益 3,200 (△13.6%)
グラフィック用紙の需要減退があったものの、包装用紙・衛生用紙や輸出案件の拡販に努めた結果、増収となった。利益は、工場休転中の大型修繕工事などによる固定費増や設備トラブルによる生産不調により減益。
○紙・パルプ製造事業…売上高+3.2%、営業利益△75.1%。新聞用紙は販売量・金額ともに減少。印刷用紙の販売量は、国内販売は減少したが輸出は増加し、金額は輸出増による販売量増加に伴い前年を上回った。包装用紙の国内販売量は前年並みで輸出は増加し、金額は販売量増加により前年を上回った。特殊紙・板紙および加工品のうち、壁紙は前年並みの販売量を確保し、板紙・加工品は増販、金額は販売増に伴い増加。パルプは、販売量は前年並みだったが金額は円安で増加。
○発電事業…売上高△26.5%、営業利益+5.6%。売電単価下落に伴い一部発電設備を停止したため減収となったが、コスト圧縮で増益。
○その他…売上高+2.0%、営業利益+365.8%。紙・パルプ製品取扱量の増加やコスト削減により増益。
通期予想は5月公表の前回予想から変更なし。
■特種東海製紙
〔第1四半期〕
売上高 22,702 (+10.4%)
営業益 1,049 (+350.0%)
経常益 1,971 (+41.4%)
当期益 1,408 (+12.2%)
〔通期予想〕
売上高 93,000 (+7.5%)
営業益 3,100 (+35.0%)
経常益 5,500 (△11.1%)
当期益 4,300 (△6.3%)
○産業素材事業…売上高+1.0%、営業利益△10.3%。物価高による買い控えなどにより、段ボールなどの包装材需要全体が低調で販売量が減少。電力販売は赤松水力発電所が設備トラブルで停止したため減収減益。
○特殊素材事業…売上高+6.8%、営業利益520百万円(前年同期比+575百万円)。特殊印刷用紙は、国内需要は減少したが価格改定により売上は前年並み。特殊機能紙は、国内販売量は減少したが、海外向けの一部需要増により増収。
○生活商品事業…売上高+1.8%、営業利益+6.5%。トイレットペーパーとペーパータオルは価格改定などにより増収。ラミネートなどの加工品は包装用途の需要低下により減収。
○環境関連事業…売上高+79.0%、営業利益109百万円(前年同期比+240百万円)。新たに連結化したトーエイの業績が寄与して増収。
通期予想は5月公表の前回予想から変更なし。
【製紙関連】
■レンゴー
〔第1四半期〕
売上高 244,515 (+9.3%)
営業益 12,118 (△10.8%)
経常益 13,261 (△7.8%)
当期益 13,998 (+45.5%)
〔通期予想〕
売上高 1,000,000 (+11.0%)
営業益 50,000 (+2.3%)
経常益 52,000 (+8.4%)
当期益 35,000 (+6.0%)
連結子会社の増加により増収となったが、固定費の増加などにより営業益、経常益は減収。当期益は、新規連結に伴う負ののれん発生益を計上したことにより増益。
○板紙・紙加工関連事業…売上高+0.7%、営業利益△15.1%。販売量の増加により増収となったが固定費の増加で減益。
○軟包装関連事業…売上高+49.0%、営業利益△28.7%。連結子会社の増加で増収となったが、固定費が増加し減益。
○重包装関連事業…売上高+1.6%、営業利益+40.6%。工業樹脂製品の需要持ち直しにより増収増益。
○海外関連事業…売上高+9.6%、営業利益+3.4%。連結子会社の増加により増収増益。
○その他の事業…売上高+6.1%、営業利益+97.9%。運送事業の採算改善などにより増収増益。
通期予想は5月公表の前回予想から変更なし。
=旭洋=
2024年3月期は
洋紙・産業資材が増収
旭洋は、2024年3月期決算(23年4月~24年3月)を発表した。以下、単位100万円、( )内は対前期増減率。
〔2024年3月期〕
売上高 184,253 (△0.2%)
経常益 3,418 (△7.4%)
当期益 2,383 (+7.6%)
数値ミッションの達成に向けて収益基盤の拡充を図るとともに、良質・安定的な資金の調達および資金コストの低減に継続的に取り組み、財務体質の改善に努めた。配当については、必要な内部留保の確保を最優先とし、引き続き普通配当を見送った。部門別売上高(単位100万円)は、洋紙29,031(+11.1%)、産業資材85,201(+2.8%)、化成品・機能材52,443(△2.2%)、海外等17,577(△21.0%)。
今後は、環境負荷低減ニーズの高まりをチャンスと捉え、部門横断的・複合的に開発・提案力を発揮して収益基盤強化を推進し、新規事業・新規商材への挑戦を進めながら財務体質強化に取り組む。
株式会社 紙業タイムス社 「Future9/9号」より