日本紙パルプ商事は、フランスの紙・板紙卸、Inapa France S.A.S.の全発行済株式を11月30日付で取得し、同社とその100％子会社のJJ LOOS S.A.S.を完全子会社化する。取得価額は約2,700万ユーロ（43億7,400万円）。
　Inapa FranceとJJ LOOSは、欧州3位の紙商グループInapa-Investimentos, Participaes e  Gesto, S.A.（本社：ポルトガル）のフランス拠点。フランス国内を中心にグラフィック用紙、サイン&ディスプレイ関連商品を販売している。日本紙パルプ商事によるInapaグループの紙商買収は、前号で報じたドイツ拠点3社に続くもの。フランスの紙・板紙消費量は、他の先進国同様減少傾向にあるものの、年間約860万tと、世界10位、欧州ではドイツ、イタリアに次ぐ3位の市場規模。日本紙パルプ商事は、フランス全域をカバーする2社を子会社化することにより、先のドイツ3社とあわせ、欧州大陸での卸商基盤を拡充する。
　子会社化するフランス2社の概要は次の通り。
【Inapa France】▽事業：グラフィック用紙の販売▽資本金：1億4,300万ユーロ（232億3,700万円）▽設立：1999年▽23年12月期売上高：2億ユーロ（323億5,200万円）
【JJ LOOS】▽事業：サイン&ディスプレイ関連商品の販売▽資本金：100万ユーロ（1億6,200万円）▽設立：1964年▽23年12月期売上高：800万ユーロ（13億5,500万円）
《解説》今回子会社化する2社の2023年12月期売上高は、合計2億800万ユーロ（337億700万円）で、ドイツ3社の5億5,040万ユーロ（891億6,500万円）と合わせると約1,229億円となる。これを日本紙パルプ商事の売上収益（24年3月期：約5,342億円）に加えると、現在、国内紙流通トップのKPPグループホールディングスの売上高（約6,444億円）を上回ることになる。

豪州地域で軟包装事業と
サイン＆ディスプレイ強化
　日本紙パルプ商事は、豪州・メルボルンに本社を置く連結子会社、Ball & Doggett Group Pty Ltdを通じ、オセアニア地域で軟包装事業とサイン＆ディスプレイ事業を強化する。
　Ball & Doggett Groupの子会社、BJ Ball LimitedがニュージーランドでPacrite Industries Limitedから軟包装材事業を譲受したほか、Ball & Doggett Pty Ltdが豪州でSign Essentials Pty Ltdからサイン＆ディスプレイ事業を譲受した。各社の主な事業は次の通り。
【BJ Ball】紙・包装資材卸売
【Pacrite Industries】食品包装を中心とした軟包装材卸売
【Ball & Doggett】紙・板紙・パッケージ・サイン&ディスプレイ関連商品の加工・販売
【Sign Essentials】サイン&ディスプレイ関連のハードウェアおよび消耗品の販売、保守サービス
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future11/11号」より