王子ホールディングスは、ヤマハ発動機および信州大学発のベンチャー企業=精密林業計測と共同で、王子グループの国内社有林においてリモートセンシングを活用した森林情報の取得と解析の取組みを開始した。
近年、林業現場では人手不足や高齢化、安全性の確保など多くの課題が顕在化しており、効率的かつ持続可能な森林管理の実現に向けて、デジタル技術の活用が求められている。中でも森林情報の取得は、現地調査に多くの時間と人手がかかり、広範囲かつ詳細なデータ収集が困難といった課題があった。
こうした課題に対応する林業デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、従来の現地調査や先行するリモートセンシング技術では把握が困難とされた単木単位の詳細な森林情報の取得を目的に、共同実証を行うことにしたもの。
実証実験地は王子グループが保有する複数の国内社有林で、国内外合わせて約63.5万ha(東京都の面積の約3倍)に及ぶ。
各社の役割として、ヤマハ発動機が産業用無人ヘリコプターで広域レーザー計測を実施し、得られた森林情報は、精密林業計測が解析する。すでに岐阜県内の社有林で実証実験を行っており、樹種・樹高・直径・材積・位置情報などを一括で可視化することにも成功した。
地形や水系に応じた樹種分布や、大径木(一般的に30㎝を超えるもの)の効率的な抽出の確認ができるほか、森林整備や資源管理の精度向上にも期待が寄せられる。さらにコナラやクリなど、野生動物の餌となる堅果類の分布も把握でき、生態系や野生動物の管理に有益という。
こうした取組みにより、現地調査の大幅な省力化をはじめ、作業中の事故や野生動物との遭遇リスク軽減など、安全性の向上にもつながる。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、将来的にはCO2固定量算出やJ-クレジットへの展開も視野に取り組むとしている。王子HDは今後も社有林の森林情報を蓄積し、森林管理の高度化と森林の多面的機能のモニタリングを進めていく方針。







