テトラパックの社長兼CEOであるデニス・ヨンソン氏はこのほど、イタリアのパルマで開催されたワールドデイリーサミットで、世界的に食の安全を確かなものにするための持続可能な乳業の在り方について、自社のビジョンを発表した。ワールドデイリーサミットは、1903年にベルギーの首都ブリュッセルで設立された国際酪農連盟（IDF）が毎年開催している国際会議。会員国から計500名以上の酪農・乳業関係者が参加し、最先端の研究成果や技術情報が報告されている。
　ヨンソン氏は講演で、同社の設立以来、乳業界に変化を与えてきた三つの要素として「３倍に増加した世界の人口」、「健康や健全な生活に対する欲求の高まり」、「世界的に資源が枯渇しつつあるという認識の高まり」を挙げ、次のように述べた。
　「これら３要素はわれわれの業界に対し、課題と同時に機会を提供している。コラボレーション（協業）とイノベーション（革新）、企業責任を果たしていくことが、これら３要素に対応して業界を持続させ、さらなる発展につながると考える」
　「広がりつつある、安全で栄養価の高い食品への要求に取り組むためには、乳業界すべてのバリューチェーンのみならず、政府や大学機関、市民社会を通じて、より強固なパートナーシップが必要となる。かつ環境的にも社会的にも責任を持って取り組むことが不可欠だ」
　「世界の人口は増加しつつあり、寿命も延びている。気候変動の懸念は増しつつある。食の安全に対し責任あるアプローチを実践し続けることは、われわれの業界における企業義務であり、かつてないほど不可欠になっている」
　なおIDFの会員国は、09年11月現在で56ヵ国に上る。また2年後の2013年には横浜で同サミットが開催される。
 

株式会社　紙業タイムス社　「Future　11/28号」より