=紙パの第2四半期③=
前号に続き、紙パルプ関連各社の2022年3月期第2四半期(21年4~9月)決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年同期比、〈 〉内は前年同期の実績値。
【製紙関連】
■レンゴー
〔第2四半期〕
売上高 363,575 (+10.4%)
営業益 20,295 (+13.8%)
経常益 22,504 (+16.4%)
当期益 19,078 (+46.9%)
〔通期予想〕
売上高 723,000 (+6.2%)
営業益 42,000 (+5.2%)
経常益 44,000 (+1.9%)
当期益 30,000 (+4.9%)
○板紙・紙加工関連事業…売上高+4.1%、営業利益+12.7%。販売量の増加により増収増益。
○軟包装関連事業…売上高+19.8%、営業利益△29.4%。連結子会社の増加により増収となったが、原料価格の上昇により減益。
○重包装関連事業…売上高△3.8%、営業利益△10.8%。業務用食品関連の需要減および原料価格の上昇などにより減収減益。
○海外関連事業…売上高+43.8%、営業利益+134.6%。コロナ禍で落ち込んだ需要が回復し増収増益。
○その他の事業…売上高+5.1%、営業利益+20.9%。貨物量の回復で運送事業の採算が改善したほか、紙器機械などの需要が持ち直して増収増益。
通期予想は、現時点では不確定要素が多いため、5月公表の予想から変更していない。
■リンテック
〔第2四半期〕
売上高 125,640 (+12.7%)
営業益 11,729 (+85.4%)
経常益 12,255 (+97.5%)
当期益 8,792 (+111.4%)
〔通期予想〕
売上高 255,000
営業益 21,000
経常益 21,500
当期益 15,000
半導体・電子部品関連製品が順調に推移したことに加え、他の製品も前年に比べて需要が回復した。
○印刷材・産業工材関連…売上高+16.3%、営業利益1,150百万円(前年同期比+2,085百万円)。シール・ラベル用粘着製品は、食品や家電、自動車、通販関連が堅調で、海外は米国、中国、アセアンが好調。自動車用粘着製品やウインドーフィルム、装飾用フィルムも、国内外ともに大きく回復。
○電子・光学関連…売上高+6.7%、営業利益+43.9%。半導体関連粘着テープと関連装置、積層セラミックコンデンサ関連テープが好調。光学ディスプレイ関連粘着製品も堅調に推移した。
○洋紙・加工材関連…売上高+16.5%、営業利益+68.4%。洋紙事業は、封筒用紙は前年並みだったが、工業用特殊紙やファストフード向け耐油耐水紙が回復し、増収。加工材事業も増収。
通期予想は、5月公表の予想を修正した。修正額(単位100万円)は、売上高+15,000、営業益+3,500、経常益+4,000、当期益+2,500。2Qの業績が想定を大きく上回り、また3Q以降も、サプライチェーンの混乱や調整コストの上昇などの懸念材料はあるものの、売上高は引き続き堅調と見込んだ。
■巴川製紙所
〔第2四半期〕
売上高 15,653 (+12.2%)
営業益 1,051 〈△865〉
経常益 1,245 〈△812〉
当期益 829 〈△1,674〉
〔通期予想〕
売上高 33,000 (+7.3%)
営業益 1,400 〈△15〉
経常益 1,600 〈145〉
当期益 1,200 〈△1,152〉
トナー事業や電子材料事業が好調で増収増益。利益面では、構造改革や原価低減の効果もあった。
○トナー事業…売上高+25.5%、セグメント利益433百万円(前年同期比+890百万円)。前年度後半からの回復基調が継続したほか、円安傾向も追い風。費用面では、米国工場閉鎖に伴う固定費圧縮など、費用削減効果が現れた。
○電子材料事業…売上高+28.9%、セグメント利益671百万円(前年同期比+672百万円)。半導体・電子材料関連は回復基調が継続し、光学フィルム関連は当初計画になかった新規案件獲得や、新製品のサンプル収入が加わった。
○機能紙事業…売上高+3.1%、セグメント損失△33百万円(前年同期比+356百万円)。既存事業の縮小が進む中、前年同期並みの売上高を確保した。費用面では、抄紙機の一部停機効果などが発現した。
○セキュリティメディア事業…売上高△13.7%、セグメント利益△7.3%。
○新規開発事業…売上高+83.8%、セグメント損失△204百万円(前年同期比△10百万円)。
○その他の事業…売上高△2.3%、セグメント利益+168.0%。
通期予想は7月公表の予想を修正した。修正額(単位100万円)は、営業益+200、経常益+400、当期益+200。下期の利益率は上期と比べて低下すると見込む一方、一部洋紙事業の資産(トモエリバー関連の製造販売)の売却益発生を踏まえて修正した。
【紙流通】
■日本紙パルプ商事
〔第2四半期〕
売上収益 208,029
営業益 6,316 (+73.4%)
経常益 6,661 (+82.1%)
当期益 8,454 (+418.6%)
〔通期予想〕
営業益 9,800 (+10.2%)
経常益 9,300 (+3.9%)
当期益 9,400 (+157.6%)
当期益は、退職給付制度改定益5,969百万円を特別利益に計上したため大幅増益となった。同特別利益計上に伴い繰延税金資産の一部を取崩し、法人税等調整額2,138百万円を計上している。
収益認識会計基準等の適用に伴い、売上高を売上収益に変更しており、これにより売上収益は37,109百万円減少した。基準の変更で数値に大きな変更が生じるため、売上収益の前年同期比は記載していない。
○国内卸売…売上収益△28.9%(85,042百万円。収益認識会計基準等適用による影響は△41,645百万円)。紙は緩やかな回復が継続して販売量が増加。板紙も通販関連や加工食品向けが堅調で販売量が増加。経常利益は、販売増と持分法投資利益の増加により+62.0%。
○海外卸売…売上収益+15.3%(89,777百万円。同影響額△1,170百万円)。米国、オセアニアを中心に販売量が増加したことに加え、販売価格の上昇があった。日本からの紙輸出も増加。経常利益は販売増に加えて為替影響による増加もあり、大幅に改善して1,537百万円(前年同期比+1,948百万円)。
○製紙加工…売上収益+89.9%(20,599百万円。同影響額+9,273百万円)。経常利益△0.3%。
○環境原材料…売上収益△28.1%(9,978百万円。同影響額△3,567百万円)。経常利益+104.9%。
○不動産賃貸…売上収益は+0.9%(2,632百万円。同影響なし)、経常利益+1.6%。
通期予想は、5月公表の予想から変更なし。
■国際紙パルプ商事
〔第2四半期〕
売上高 269,133
営業益 3,822
経常益 4,205
当期益 3,485
〔通期予想〕
売上高 545,000
営業益 5,900
経常益 5,000
当期益 4,200
収益認識会計基準等の適用に伴い、前年同期比を記載していない。
○国内拠点紙パルプ等卸売事業…売上高123,863百万円、営業利益+49.2%。紙は、グラフィック用紙を中心に販売量が大幅回復したが、緊急事態宣言の再発令により回復は限定的。紙器用板紙も、回復傾向にはあるものの限定的。段ボール原紙は、飲料用包装資材向けが堅調だったほか、中国を中心とした輸出の増加などにより増収。古紙は、発生量減少も売上高は増加。パルプは販売量、売上高ともに大幅増。
○海外拠点紙パルプ等卸売事業…売上高144,647百万円、営業利益2,752百万円(前年同期比+10,954百万円)。子会社増加やコロナ禍からの回復により、欧州とオセアニアは販売量・売上高ともに大幅増。中国も業績が急回復した。
○不動産賃貸事業…売上高622百万円、営業利益△74.6%。
通期予想は8月公表の予想から変更なし。
■平和紙業
〔第2四半期〕
売上高 7,487 (+10.7%)
営業益 43 〈△117〉
経常益 34 〈△126〉
当期益 17 〈△109〉
〔通期予想〕
売上高 16,500 (+12.9%)
営業益 94 (+975.1%)
経常益 142 〈△19〉
当期益 93 〈△34〉
需要構造が変化する中、新たに需要が見込める領域にフォーカスをあてた提案・販売活動を強化した結果、増収となった。2Q累計で新型コロナに係る助成金収入64百万円を営業外収益に、従業員への休業手当114百万円を営業外費用に計上している。なお、当期から収益認識会計基準等を適用しており、前年同期との比較は、新会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用して比較・分析を行った。
○和洋紙卸売業…売上高+10.7%、営業利益29百万円(前年同期比+159百万円)。ファンシーペーパーは、コロナ禍での需要減少は続いたが出版、紙製品用途や東アジア向け輸出が回復し、売上高は+13.1%。ファインボードは、インバウンドや各種イベントの需要減少は継続するも、紙製品、高級パッケージ、出版分野向けが徐々に回復し、売上高は+12.9%。高級印刷紙も商業印刷物や紙製品需要が増加し、売上高+12.6%。ベーシックペーパーも商印用途が増加し、また紙製品や出版、各種パッケージ向けも安定して売上高は+4.9%。技術紙は、医療用パッケージ用途や合成紙、耐水撥水性機能紙、各種工業品製造用工程紙が堅調で売上高+7.7%。その他(家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等)は売上高+28.4%。
○不動産賃貸業…売上高+1.1%、営業利益+26.5%。
通期予想は、5月公表の予想から変更なし。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/6号」より