日本製紙はこのほど、鳥取県、鳥取県森林組合連合会、鳥取県山林樹苗協同組合、新日本海新聞社と共同で、「新時代の森林資源造成及び循環利用」の取組みに関する共同宣言に署名した。
　鳥取県は県土の約74％を森林が占め、そのうち約55％が人工林。その多くは戦後に植林されたもので、すでに60％以上が一般的な伐期である50年生を超えている。一方、CO2排出削減や吸収源対策といった喫緊の課題があるほか、花粉症対策も進めなければならず、共同宣言ではこうした状況を踏まえ、「持続可能な森林資源の循環利用への転換」を目指して次のような目標を宣言した。
《共同宣言の概要》▽森林の適正な管理・保全により、森林の持つ公益的機能の維持・増進と生物多様性の保全に努め、ネイチャーポジティブの実現を目指す▽国産材の利活用を促進し、林業の持続的発展と地域経済の活性化を実現する▽成長、材質、強度などの特性に優れ、花粉症対策にも効果の高い品種の開発を進めるとともに、優良な苗木の安定的な生産及び供給に努める▽持続的な林業経営が可能となるよう施業の効率化を図るとともに、新技術の導入や開発を進める
　また共同宣言に署名した5者は、次のような取組みを行う（要約）。
【日本製紙】▽成長に優れ、花粉が少ないエリートツリーを県内生産者と協業して安定供給する▽社有林の維持・管理▽木質資源の多段階活用やバイオリファイナリーなど、木質資源の利用拡大▽古紙リサイクルの推進
【新日本海新聞社】▽森林の保全・育成・活用や環境問題についての報道・言論・事業活動▽古紙回収の強化、新聞用紙のリサイクル推進▽森林保全・植樹活動
【鳥取県森林組合連合会】▽人工林の皆伐・再造林の推進▽DXを活用した木材需給情報の共有化を図るサプライチェーン・マネジメントシステムの構築▽ドローンによる測量。収穫期間・下刈期間の短縮
【鳥取県山林樹苗協同組合】▽樹種別、品種別、出荷形態別などの育苗技術の確立と向上▽技術の伝承と新たな生産体制づくり
【鳥取県】▽県営採種園の管理。国・他府県と種子の配布に係る連絡調整の強化▽新技術導入やエリートツリー苗木の安定供給に必要な支援、流通の効率化、研究開発など▽宣言賛同者間の連携