大王製紙はこのほど、11月に民事再生手続きの申立をした㈱千明社を、スポンサーとして再建支援することを決めた。千明社は、約30億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請し、同時に大王製紙と再建に向けた協議を進めていた（関連記事12/16号）。

　再建支援に当たっては、大王製紙100％子会社であるダイオープリンティングの100％子会社を新設し、千明社の事業を新会社が承継する形で事業譲受を実施、新会社の商号は「千明社」をそのまま引き継ぐ。譲受内容は印刷事業、不動産その他の設備、従業員などの資産。なお、新会社は12月5日付で設立しており、事業授受は1月7日の予定。大王製紙は、「当社グループで積極的な営業支援と財務サポートを行い、早期の再生を目指す」としている。

　大王製紙は、総合印刷会社をグループ内に持ち、2017年には三浦印刷をグループ化して印刷事業を強化、原紙から印刷まで一気通貫の提案を行う営業スタイルで業容を拡大している。一方、千明社は、創業64年の業歴を有し、通販向けカタログ印刷を主体に大手直需ユーザーとの長期にわたる取引がある。今後は営業･開発･技術面など、大王グループとの一体運営により、早期にシナジー効果を発現していく。

　印刷市場は、縮小傾向にあるとはいえ、その市場規模は5兆円超と巨大であり、シール･ラベルやビジネスフォームの需要は引続き堅調に推移している。大王製紙は、マーケットイン志向で最終需要家のニーズを掴み、課題解決に向けた提案や新商品開発･品質改善を進め、洋紙事業を強化していく考え。 

　なお事業譲受は、裁判所の許可が得られることと、公正取引委員会への企業結合の届出に係る待機期間の経過などが条件となっている。

【譲受会社の概要】▽名称：㈱千明社▽所在地：埼玉県幸手市上高野2730－1▽代表者：小川満代表取締役▽事業：印刷事業▽資本金：3,000万円▽設立：2019年12月5日▽株主：ダイオープリンティング100％

【譲渡会社の概要】▽名称：㈱千明社▽所在地：東京都千代田区九段北4－3－8▽代表者：根本三郎代表取締役▽事業：印刷事業▽資本金：6,600万円▽設立：1955年６月24日▽株主：根本三郎79.2％、根本周明20.8％

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future1/20号」より