大日本印刷(=DNP)は、紙の単一素材(モノマテリアル)で構成してリサイクル性を高めつつ、酸素や水蒸気などへの高いバリア性も備えたパッケージ用シート「紙製ハイバリアモノマテリアルシート」を開発した。食品や化粧品・医療品向け包装資材のほか、幅広い分野の産業資材として、国内外で提供していく。
脱炭素の取組みやESG投資などが加速する中、プラスチック製品に関しては世界中でリデュース・リユース・リサイクルの取組みが広がり、メーカー各社も植物由来や生分解性の材料を使用した製品の開発を進めている。
DNPでは、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING」のラインアップ拡充に努め、その一環として、単一素材にすることでリサイクル性を高めたパッケージを展開している。さらに、今回開発した「紙製ハイバリアモノマテリアルシート」は、石油由来のプラスチックフィルムではなく、植物由来の紙を使うことでCO2排出量を削減する。
また、DNP独自のコンバーティング技術によって紙へのバリア性付与に成功し、フードロスの削減にもつながる長期保存・鮮度保持を可能にした。これまで紙では難しいとされてきた、酸素透過度0.5cc/㎡・day・atm以下、水蒸気透過度0.5g/㎡・day以下に成功したほか、耐屈曲性能の向上を図り、折曲げ加工後のバリア性の劣化を最小限にしている。ちなみに、基材の紙については特殊な紙は必要なく、一般的なクラフト紙を使用している。
透明材料の薄膜層で構成されており、導電性がないためRFIDなどの利用も可能。ポリ塩化ビニリデン(PVDC)を使用しておらず、製品全体に対する紙の重量比は80%以上の高さでありながら、透明で高いバリア性のコート層を持ち、かつヒートシールもできる。DNPでは今後、製品化に向けた検証を進め、実用化を目指す。
株式会社 紙業タイムス社 「Future10/24号」より