=紙パの2022年3月期③=
前号に続き、紙パ関連各社の2022年3月期(21年4月~22年3月)決算を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、%表記は対前年度比、〈 〉内は前年度の実績値。
【紙流通】
■日本紙パルプ商事
〔22年3月期〕
売上収益 444,757
営業益 14,064 (+58.1%)
経常益 15,051 (+68.2%)
当期益 11,499 (+215.1%)
〔23年3月期予想〕
営業益 13,500 (△4.0%)
経常益 14,000 (△7.0%)
当期益 8,500 (△26.1%)
連結子会社RADMS Paper Limitedに係るのれんの減損損失1,779百万円を特別損失に計上したが、退職給付制度改定益5,969百万円を特別利益に計上したため、当期純利益は大幅増益。営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも過去最高益を記録。収益認識会計基準等の適用に伴い売上高を売上収益に変更しており、これにより売上収益は76,946百万円減少した。
○国内卸売…売上収益△30.4%(173,967百万円。収益認識会計基準等適用による影響は△84,743百万円)。紙は緩やかに回復し販売量が増加。板紙も通販関連や加工食品向けが堅調で販売量が増加。経常利益は、販売増と持分法投資利益の増加により+15.5%。
○海外卸売…売上収益+27.4%(202,211百万円。同影響額△2,950百万円)。需要の回復、販売単価上昇、日本からの輸出増により増収。経常利益も黒字転換して5,678百万円(前年度比+6,104百万円)。
○製紙加工…売上収益+89.0%(41,545百万円。同影響額+18,200百万円)。経常利益△20.8%。
○環境原材料…売上収益△19.6%(21,828百万円。同影響額△7,454百万円)。経常利益+104.2%。
○不動産賃貸…売上収益は前年度並みの5,206百万円(同影響なし)、経常利益△2.8%。
23年3月期については、一定の需要増加を見込んでいるものの、原燃料価格や物流費の高騰に伴い減益を予想した。
■国際紙パルプ商事
〔22年3月期〕
売上高 563,414
営業益 9,379
経常益 8,844
当期益 7,497
〔23年3月期予想〕
売上高 590,000 (+4.7%)
営業益 12,000 (+27.9%)
経常益 9,400 (+6.3%)
当期益 7,500 (±0.0%)
収益認識会計基準等の適用に伴い、前年度比を記載していない。
○国内拠点紙パルプ等卸売事業…売上高256,282百万円、セグメント利益+34.3%。紙は、数量・売上高ともに前年度を上回ったが、コロナ前の実績回復には至らなかった。板紙は宅配事業や経済再開がプラス要因となり増加。古紙は、販売量は前年度割れだったが売上高は増加。パルプは、中国向けの増加や単価上昇で数量・売上高ともに増加。
○海外拠点紙パルプ等卸売事業…売上高305,901百万円、セグメント利益7,160百万円(前年度比+17,717百万円)。豪州・ニュージーランドと欧州は経済活動の再開で需要が回復したほか、AntalisS.A.S.の買収効果で大幅な増収増益。中国も増収増益。
○不動産賃貸事業…売上高1,230百万円、営業利益△72.0%。
23年3月期は、内外で需要の回復が見込まれることや、製品供給不足およびエネルギーコスト問題などで市況は上昇基調にあることなどから、増収・増益を見込んだ。
■平和紙業
〔22年3月期〕
売上高 15,619 (+6.9%)
営業益 161 〈8〉
経常益 133 〈△19〉
当期益 87 〈△34〉
〔23年3月期予想〕
売上高 17,000 (+8.8%)
営業益 72 (△55.5%)
経常益 130 (△2.7%)
当期益 874 (+901.6%)
国内観光関連や各種包装パッケージ用途に需要回復の動きが出てきており、東アジアでの販売も当地区からの欧米向け商品の輸出回復に伴い復調傾向にある。なお、1Qから収益認識会計基準等を適用しており、前年度との比較は、新会計方針を過去の全期間に遡及適用して比較・分析した。
○和洋紙卸売業…売上高+6.9%、営業利益134百万円(前年度比+149百万円)。ファンシーペーパーは出版、紙製品用途が堅調で、また土産物、菓子パッケージ向けが持ち直し、売上高は+6.7%。ファインボードは高級パッケージや土産用パッケージ向けが回復傾向にあり、売上高は+9.8%。高級印刷紙は商業印刷物用途が微増、紙製品や出版用途が回復基調にあり、売上高+6.8%。ベーシックペーパーは出版や各種パッケージ用途が回復、東アジア向け輸出も伸長し、売上高は+3.4%。技術紙は耐水系機能紙や医療用パッケージ用途の伸長などにより売上高+3.4%。その他(家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等)は売上高+11.1%。
○不動産賃貸業…売上高+1.4%、営業利益+26.9%。
■共同紙販ホールディングス
〔22年3月期〕
売上高 14,085 (+6.5%)
営業益 4 (+9.6%)
経常益 13 (△18.9%)
当期益 171 (+336.2%)
〔23年3月期予想〕
売上高 16,000 (+13.6%)
営業益 80 (20倍)
経常益 100 (+626.7%)
当期益 60 (△65.1%)
当期は、コロナ感染予防の徹底を図りながら効率的な販売活動を展開、グループ全体で収益改善に取り組んだ。また、板紙分野の取扱いを全国的に拡充するため、今年1月1日付でわかば紙商事を子会社化し、販売品目の多様化を積極推進した。
売上高は、わかば紙商事の4Q分(21年1~3月)を販売実績に織り込んだこともあり、増収。利益面は営業、経常とも前年並み。当期益は、減損処理による投資有価証券評価損を特別損失に計上したものの、新規子会社取得に伴う負ののれん発生益を特別利益に計上したことで増益となった。セグメント別の売上高は、洋紙卸売事業が+6.9%、不動産賃貸事業が△29.5%、物流事業が+3.9%。
わかば紙商事の子会社化に伴い、今後は「包装、板紙、段ボールといった産業用紙販売を、さらに全国の拠点から拡充していきたい」としている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/13号」より