画材紙メーカーの名門、キャンソン社(本社:フランス)の海外マーケティングエキスパートであるレミ・フラション氏と、絵具メーカーとして世界的に著名なマイメリ社(本社:イタリア)のジャンニ・マイメリ社長が、このほど来日。東京・新宿にある画材・文具の大手専門店、世界堂本店で特別講演を行った。この講演は世界堂の社員向け、プロの画家向け、一般向けと3日間にわたって開催されたが、いずれも会場は満席で、プロ・アマとも専門画材メーカーの興味深い話に熱心に聞き入っていた。
マイメリ社もキャンソン社も、現在はイタリア発祥の企業グループであるフィラの傘下。マイメリ社は、稀代の画家としても知られた現社長の祖父が画材製造業の創業者。自分の求める絵具を自分で作り始めるようになり、今日までアーティストから求められる絵具を作り続けている。日本での代理店は大日本美術工芸が務めている。
一方、キャンソン社はモンゴルフィエ家によって16世紀半ばに創業された。同家は18世紀後半、紙を素材とする熱気球を上げたことでも知られる。当時のフランス政府からも製紙工場のモデルとして認められ、次第に画材紙の専門メーカーとして発展していった。今や世界中にキャンソン社の紙を愛用するアーティストがおり、フラション氏自身も長年にわたり南米で営業経験を重ねてきた。日本ではマルマンが代理店となっている。
講演後は来場者との懇談の席も設けられ、交友を深めていた。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/13号」より