王子ホールディングスは、2026年3月期~28年3月期を期間とする中期経営計画2027の骨子を発表した。主な内容は次記の通り。
■骨子
計画の最終2027年度は経営指標として、ROE8%の達成を掲げるほか、利益面では、連結営業利益1,200億円、連結純利益800億円、また、株主還元は配当性向50%(25年度以降)、自己株式取得1,200億円(中計期間累計)、さらに財務健全性はネットD/Eレシオ1.0倍以内を目指すとした。
■事業戦略
既存事業の収益力強化…24年度に落ち込んだ利益率の立て直しや、低成長事業におけるキャッシュフロー経営の徹底を図る。具体的には、着実な価格転嫁、競争力強化・安定操業、グループ営業体制強化、高付加価値品へのシフト、に取り組む。
事業ポートフォリオ転換開始…低収益事業の構造改革を進める一方、有望な成長事業には経営資本を集中投下するとした。主な取組みとして、バリア紙などのサステナブルパッケージや、パルプから機能性セルロースへの展開など川下ビジネスの一体化、高い経済成長を見込むインド・東南アジアでの戦略事業を掲げる。
進化に向けた研究開発投資…木質バイオマス企業となるための研究開発投資も積極的に実施するとしている。
具体的には、糖液・バイオエタノール、最先端のバイオマスレジスト(木質由来の高分子材料を主成分とする半導体用感光材)、バイオマス医薬品、CNF複合材などを挙げている。
■財務戦略:キャッシュアロケーション
キャッシュイン…収益力を強化し、安定的に営業キャッシュフローを創出。また、株式の縮減・賃貸不動産の売却により資産をスリム化する。
キャッシュアウト…研究開発費として500億円、成長投資として2,700億円を計上し、研究開発を含む新規事業の創出や、既存有望事業拡大のための投資を実施。一方、維持更新投資は可能な限り圧縮を検討する。