王子マテリアはこのほど、美粧印刷に特化したクラフト紙『晒光沢原紙』と『未晒光沢原紙』を開発した。晒光沢原紙は6月から、未晒光沢原紙は7月から、それぞれ4米坪（50、80、 100,、120g/㎡）の品揃えで生産を開始する。
　脱プラ・減プラへの取組みが加速し、包装資材もプラスチック包装から紙包装への切替えが進む中、クラフト紙市場は堅調に推移している。しかしクラフト紙の最重要品質は“強度”であり、強度を獲得するためには印刷再現性をある程度犠牲にしなければならず、そのため美粧包装には向かなかった。
　この「美粧包装には向かない」というクラフト紙の課題を解決するため、王子マテリアは呉工場で培った抄紙技術を駆使し、クラフト紙の片面（表面）に高光沢を付与。平滑性に富み、印刷時の網点欠落も少なく、印刷用の塗工紙に迫る印刷再現性を獲得した。効率的に光沢付与まで行えるため、コスト競争力にも優れている。
　市場に投入するのは、茶色の『未晒光沢原紙』と、白色の『晒光沢原紙』（写真）の2種類。晒光沢原紙は従来の片艶クラフト紙と比べて白色度が高く、シャープで冴えのある印刷再現が求められるシールラベルや食品蓋材の基紙としても適している。同社では今後、未晒光沢原紙と併せ、包装資材にとどまらず、ラベル用途、書籍などのグラフィック用途まで、業界の常識を覆す革新的なクラフト紙として拡販を図っていく考え。