厚生労働省はこのほど2017年度「卓越した技能者・現代の名工」149名を決定。去る11月6日、東京都内のホテルで表彰式を執り行った。このうち手漉き和紙部門からは山中和紙(さんちゅうわし)の手漉き工、柏木一枝さん(81)が選ばれた。
山中和紙は岐阜県飛騨市河合町で、今から800年余り前の鎌倉時代から作られている。河合町(旧・河合村)が山奥だったことから、「山中和紙」と呼ばれた。その特徴は豪雪地帯らしく、原料の楮(こうぞ)を冬場の雪晒しによって自然漂泊すること。
だが寒風の中で雪晒しの、冷たい水を使う紙漉きの仕事には厳しいものがあり、後継者は年々減少。かつては農家の冬仕事として河合村に90軒ほど生産者がいたが、現在は2軒しか残っていないという。柏木さんは今も、原料の栽培から紙漉きまで伝統的な技法を引き継いで、山中和紙の製造を行っている。
なお、この表彰制度による「現代の名工」は1967年度の初回以来、累計6,000名以上に及ぶ。
株式会社 紙業タイムス社 「Future11/27号」より