ベトナムで紙器加工事業とヘルスケア事業を本格展開
日本製紙は2016年1月、ベトナムで紙カップ事業トップシェアのViet Hoa My Trading Production Company Ltd.と、共同出資によりNippon Paper Viet Hoa My Joint Stock Company(=NPVHM社)を設立し、ホーチミン市郊外で新工場の建設を進めてきたが、今年1月13日に竣工、本格稼働を開始した(写真上)。
日本製紙は、第5次中期経営計画(2015~2017年度)の取組みの一つとして、成長が期待される分野に経営資源を振り向け、事業構造転換を進めている。海外ではASEAN地域の事業展開に力を入れており、2015年12月にベトナムで事務所を開設、紙器加工事業とヘルスケア事業の展開に着手した。
ベトナムは経済成長に支えられて個人消費が拡大し、外食産業の伸長とともに衛生面での意識の高まりから、紙器加工製品分野、特に飲料用紙コップなどの市場拡大が続くと見込まれている。
■NPVHM社の概要
〔所在地〕ベトナム・ホーチミン市
〔資本金〕300億ベトナムドン(約2億円)
〔持株比率〕日本製紙65%、現地パートナー35%
〔売上規模〕約2億円
〔事業内容〕紙コップなどの紙器製造販売
また、ASEAN地域は所得水準の向上に伴ってベビー用紙おむつ市場が急拡大しており、さらに今後は急激な高齢化の進展から大人用紙おむつ市場の拡大も期待されている。そこで、日本製紙は昨春、ベトナムで紙おむつの製造販売を手掛けるKy Vy Corporation(=KyVy社。写真下)を買収し、ヘルスケア分野への参入も果たした。日本製紙は「日本で培った技術力とノウハウをバックに、KyVy社の販売網を通じたベトナム市場の開拓はもとより、アジア全域を視野に積極的な事業展開を図っていく」と述べている。
■KyVy社の概要
〔所在地〕ベトナム・ホーチミン市
〔資本金〕1,040億ベトナムドン(約5億円)
〔持株比率〕日本製紙約98%、同社役員約2%
〔売上規模〕約10億円
〔事業内容〕大人用・ベビー用紙おむつの製造販売ほか
インド最大の紙カップメーカーを買収
また日本製紙は、先のベトナムに続きインドでも、同国最大の紙カップメーカー、Plus Paper Foodpac Private Limitedの全株式を取得し、紙器加工事業をスタートさせた。
日本製紙は事業構造転換を進める中で、パッケージ分野を成長市場の一つととらえ、アジアの飲料および食品用を中心とした紙器市場に注目している。中でも13億人の人口を有するインドは、その市場規模に加え、年率8%超の経済成長を持続しており、今後は中間所得層の拡大に伴う外食産業での需要増、ゴミ問題の深刻化によるプラスチックから紙へのシフトなど、紙器市場の拡大が見込まれている。
■Plus Paper Foodpac Private Limited の概要
〔所在地〕インド・ムンバイ市
〔資本金〕2億8,400万インドルピー(約4.8億円)
〔持株比率〕日本製紙100%
〔売上規模〕 約10億円
〔事業内容〕紙コップなどの紙器製造販売
〔組織体制〕▽本社:ムンバイ▽工場:インド北部、西部▽営業所:デリー
株式会社 紙業タイムス社 「Future2/13号」より