日本製紙は、日本製紙ゼロテクノ東北有限責任事業組合(=日本製紙ゼロテクノ東北LLP)を通じ、熊谷組が実施する「国土交通省東北地方整備局発注の国道45号釜石山田道路工事」のトンネル覆工工事で使われるコンクリート用混和材として、高品質フライアッシュ『CfFA』(Carbon-free Fly Ash)を提供した。震災復興の関連工事で『CfFA』が適用されたのは、今回が初めて。
日本製紙の基幹工場である石巻工場は、東日本大震災で甚大な被害を受けたが、2012年8月に完全復興を果たした。現在は、東北の森林資源が集積する立地を生かし、木質バイオマスの幅広い利用とともに、エネルギーやリサイクルなど多様な事業展開を検討している。
自家発電用石炭ボイラーの燃焼灰の有効利用もその一つで、今夏、日本製紙と㈱ゼロテクノが中心となって「日本製紙ゼロテクノ東北LLP」を設立し、石巻工場の石炭ボイラー燃焼灰から高品質フライアッシュ『CfFA』を製造・供給する新事業を開始した(本誌7月21日号既報)。工場敷地内には製造設備の建設を進めており、2016年1月からの本格稼働に先駆けて、『CfFA』のサンプル供給を行っている。今回の適用はその一例。
フライアッシュを混入したコンクリートは、一般的に40年とされているコンクリートの寿命が60~100年に延びると言われ、長期間にわたり耐久性を発現する。『CfFA』はコンクリート用混和材として品質が安定し使用しやすいため、高品質のコンクリートを製造でき、今後の利用拡大が期待される。
日本製紙は、石巻工場で発生する石炭ボイラー燃焼灰をリサイクル資源として利用し、地産地消で東北地方の震災復興に貢献する優れた建設資材として、『CfFA』を普及させたい考え。
株式会社 紙業タイムス社 「Future12/08号」より