大王製紙はこのほど、卓球用品メーカーの㈱タマス(東京)と共同で、高性能卓球ラケットの部材としてセルロースナノファイバー(=CNF)の成形体である『ELLEX-M』を用いる技術を開発した。
『ELLEX-M』は、CNFの強度や熱特性を活かせるシート状材料。CNF高配合の成形体で、大王製紙が独自に設計開発したCNFとパルプ繊維を複合化している。一方、タマスは、卓球の国内トップ選手を多数契約選手に抱える卓球用品メーカー。『バタフライ』の商標で数多くの卓球用品を製造販売し、選手用の高品質ラケットでは世界トップの実績を誇る。先頃開催された「世界卓球2019」でも、出場選手のうち56.6%が同社製ラケットを使用していた。
両社は2014年から、『ELLEX-M』を卓球ラケット部材に活用する技術の開発に取り組んできた。その過程で、従来のラケット用部材では実現し得なかったCNF特有の性能を確認、そして今回、従来の高性能部材より打球の威力が高い部材の開発に成功したもの。現在、タマス契約選手による試打評価を進めており、早期の製品化に向けて開発を加速させている。
なお、『ELLEX-M』の量産化に関してはヤマセイ㈱(愛媛県)が製造技術を開発中で、同社はえひめ産業振興財団からの支援・助成を受けて生産効率を改善しており、大王製紙はヤマセイで委託製造したものをサンプル供給している。
株式会社 紙業タイムス社 「Future7/1号」より