新エネルギー・産業技術総合開発機構(=NEDO)が公募した「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」に、巴川製紙所の研究開発テーマ「高生産性・低環境負荷・低コストを実現する炭化工程を必要としないGDLの技術開発」が採択された。GDL(ガス拡散層、Gas Diffusion Layer)とは燃料電池を構成する部材で、燃料であるガスの拡散、発生した水の排出や電荷の輸送など、燃料電池の効率と性能に重要な役割を果たすもの。
NEDOは同事業で、高効率、高耐久、低コストの燃料電池システムを実現するための基盤技術開発、従来以外の用途に展開するための技術、高速・大量生産を可能とする生産プロセス、検査技術、システム化技術などの研究開発を募集。採択された巴川製紙所のテーマは、同社の強みである抄紙技術と加工技術を活用することで、従来、GDLの製造に必要だったカーボンペーパーの抄紙から始まる炭化工程などを省略し、高生産性・低環境負荷・低コストなGDLの開発を目指すというもの。事業期間は2023年度~24年度の2年間。巴川製紙所は、同事業を通じて抄紙技術の新たな応用領域を模索し、新製品開発に取り組むとしている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future8/28号」より