紙の博物館は、創立 60周年記念企画展の第1弾として、6月13日まで「金唐革紙(きんからかわし)の魅力~過去から未来へ~」(後援:金唐紙研究所、東京都公園協会[旧・岩崎邸庭園]、秋田県大仙市教育委員会)を開催中。
「金唐革紙(きんからかわし)」は、中世ヨーロッパで王侯貴族の城館の壁や天井などの装飾に使われた金唐革を、明治初期に和紙で模造した擬革紙の一種。壁紙としてヨーロッパへ盛んに輸出される一方、国内では鹿鳴館や岩崎邸など、日本を代表する洋館の壁を彩った。その後、金唐革紙の製法は一時途絶えていたが、現在、その魅力に惹かれた上田尚(たかし)氏が金唐紙(きんからかみ)研究所を創設し、紙の博物館所蔵の金唐革紙製作用版木ロールなどを用いて「金唐紙」として復原している。上田氏は、各地の重要文化財建造物の金唐紙製作により、05年に国選定保存技術保持者に認定された。
本展では版木ロールや、明治時代に製作された金唐革紙の切見本など、紙の博物館収蔵資料のほか、金唐紙研究所の上田尚氏、池田和広氏の作品を紹介している。また特別出展として、秋田県大仙市にある今秋公開予定の国指定名勝「池田氏庭園」内の洋館(図書館)に使用されていた、建設当時の金唐革紙と、現在復原中のものを同時に展示している。
併せて、講演会や実演会も次の通り開催される予定。
〔記念講演会〕▽日時:5月15日13:30~15:00▽定員:40名▽演題:文化財修復~池田邸洋館の金唐革復原について~▽講師: 小林裕幸氏(文化財建造物保存技術協会)▽要申込。申込先:紙の博物館(電03-3916-2320)
〔製作実演会〕▽日時:4月10日、5月22日。13:30~15:30▽内容:紙の博物館所蔵の版木ロールを使用した、金唐紙研究所による金唐革紙の復原製作
株式会社 紙業タイムス社 「Future 4/12号」より