＝紙パの第1四半期＝

　前号に続き、紙パ関連各社の2020年3月期第1四半期決算（19年4～6月）を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、（　）内は対前年同期増減率、〈　〉内は前年同期の実績値。

【製紙メーカー】

■日本製紙

〔第1四半期〕

　売上高 260,968 （＋0.0％）

　営業益 7,313 （＋8.7％）

　経常益 7,113 （△16.2％）

　当期益 4,180 〈△6,510〉

〔通期予想〕

　売上高 1,120,000 （＋4.8％）

　営業益 30,000 （＋52.9％）

　経常益 28,000 （＋17.1％）

　当期益 13,000 〈△35,220〉

○紙・板紙事業…売上高は前年同期比＋0.2％、営業損益は黒字転換し1,999百万円（前年同期は△493百万円）。国内販売は、洋紙は新聞の部数減や印刷用紙の広告需要低迷などにより、板紙は天候不順などにより、いずれも前年同期を下回ったが、洋紙・板紙で取り組んだ製品価格修正が寄与して売上高はプラスとなった。

○生活関連事業…売上高は前年同期比＋3.7％、営業利益は同△6.9％。家庭紙は、ティシュやトイレットペーパーが堅調で販売量が増加。液体用紙容器は国内飲料市場が低迷したため販売量は減少。溶解パルプ（DP）や化成品は海外需要低迷を受け減少したが、機能性フィルムは国内販売量が増加。

○エネルギー事業…売上高は前年同期比△19.1％、営業利益は同△54.3％。

○木材・建材・土木建設関連事業…売上高は前年同期比△1.5％、営業利益は同△4.2％。

■大王製紙

〔第1四半期〕

　売上高 130,524 （＋1.3％）

　営業益 4,892 （＋11.6％）

　経常益 4,777 （＋27.2％）

　当期益 2,284 （＋30.4％）

〔通期予想〕

　売上高 560,000 （＋4.9％）

　営業益 20,000 （＋65.0％）

　経常益 17,000 （＋72.7％）

　当期益 9,000 （＋91.6％）

○紙・板紙…売上高は前年同期比＋3.6％、セグメント利益は同＋94.8％。洋紙（新聞用紙を除く）は、販売量は減少したが販売金額は価格修正の浸透などにより増加。板紙・段ボールも、販売量は減少したが金額は増加。セグメント利益は、原燃料高を難処理古紙の利用拡大や価格修正でカバーし増益。

○ホーム＆パーソナルケア…売上高は前年同期比△3.3％、セグメント利益は同△82.5％。衛生用紙、大人用紙おむつ、フェミニンケア用品、ウェットワイプは販売量・金額ともに増加。ベビー用紙おむつは少子化の影響で販売量・金額ともに減少。海外事業は、タイ・ロシア・韓国でのベビー用紙おむつ販売減が主要因となり、販売量・金額ともに減少。セグメント利益は、国内事業での物流コスト上昇や海外事業での販売促進費増加などにより減益。

○その他…売上高は前年同期比＋8.2％、セグメント損益は△134百万円（前年同期は141百万円）。

■北越コーポレーション

〔第1四半期〕

　売上高 71,560 （＋4.7％）

　営業益 5,935 （＋114.0％）

　経常益 6,828 （＋27.1％）

　当期益 4,891 （＋31.2％）

〔通期予想〕

　売上高 285,000 （＋3.3％）

　営業益 16,500 （＋62.9％）

　経常益 18,000 （＋38.3％）

　当期益 11,500 （＋25.6％）

　1Qは、洋紙の価格改定や海外子会社の増収により、増収増益となった。営業利益に比べて経常利益、当期純利益の増益幅が小さいのは、前年同期には為替差益約12億円が発生、一方、当1Qは為替差損約3億円が発生したことなどによる。

■三菱製紙

〔第1四半期〕

　売上高 48,098 （△3.5％）

　営業益 △599 〈△1,279〉

　経常益 △789 〈△1,303〉

　当期益 △1,181 〈△1,615〉

〔通期予想〕

　売上高 210,000 （＋2.9％）

　営業益 2,500 〈△40〉

　経常益 2,500 〈△914〉

　当期益 1,500 （＋327.0％）

○紙・パルプ事業…売上高は前年同期比△4.2％、営業損益は△867百万円（前年同期は△1,444百万円）。国内は印刷用紙、情報用紙ともに需要の落ち込みが進み販売量・金額ともに減少。輸出は印刷用紙中心に前年並み。欧州子会社は、販売量の減少に加えて為替の影響もあり販売金額が減少。損益面は収益性を優先した結果、改善した。

○イメージング事業…売上高は前年同期比△2.0％、営業損益は△35百万円（前年同期は118百万円）。国内は堅調だったが、海外市場を中心に需要減少の影響が大きく、販売金額が減少。損益は、減収に加え原燃料高も影響した。

○機能材事業…売上高は前年同期比＋3.3％、営業利益は前年同期の7百万円から270百万円に増加。

○倉庫・運輸事業…売上高は前年同期比△6.7％、営業利益は同△7.1％。

○その他…売上高は前年同期比△3.0％、営業利益は同＋54.5％。

■中越パルプ工業

〔第1四半期〕

　売上高 23,409 （＋6.0％）

　営業益 △582 〈△1,345〉

　経常益 △586 〈△1,165〉

　当期益 △504 〈△1,183〉

〔通期予想〕

　売上高 101,000 （＋4.4％）

　営業益 2,000 〈△397〉

　経常益 2,000 〈121〉

　当期益 1,000 （＋38.6）

　印刷用紙・新聞用紙などの価格復元や安定操業に取り組み、増収となり赤字幅も縮小した。

○紙・パルプ製造事業…売上高は前年同期比＋6.2％、営業損益は△729百万円（前年同期は△1,643百万円）。新聞用紙は、販売価格が復元するも販売量・金額ともに減少。印刷用紙、包装用紙は、価格復元が寄与して販売料・金額ともにプラス。特殊紙・板紙・加工品等は壁紙などで拡販に取り組んだ結果、販売量・金額ともに増加。パルプは販売量・金額ともに微減。

○発電事業…売上高は前年同期比＋0.2％、営業利益は同△31.6％。売上高は前年並みを維持したが、隔年実施のボイラー定期検査があったため減益。

○その他…売上高は前年同期比＋0.5％、営業損益は△86百万円（前年同期は△38百万円）。

■特種東海製紙

〔第1四半期〕

　売上高 19,619 （＋0.3％）

　営業益 273 （△73.3％）

　経常益 1,312 （△17.9％）

　当期益 1,001 （△8.9％）

〔通期予想〕

　売上高 85,000 （＋3.8％）

　営業益 3,100 （△1.4％）

　経常益 5,500 （＋2.7％）

　当期益 3,900 （△7.4％）

○産業素材事業…売上高は前年同期比＋0.6％。営業利益は同△85.0％。日本製紙との事業提携に係る契約変更に伴い、連結子会社の新東海製紙の調整損益の計上タイミングが変更になったこと、また、水力発電による売電事業が渇水の影響で大幅減益だったこと、加えてパルプの外販価格下落の影響などにより、大幅減益となった。

○特殊素材事業…売上高は前年同期比△1.9％、営業利益は同△68.5％。特殊印刷用紙は販売量・金額ともに減少。特殊機能紙は販売量・金額ともに前年同期を上回った。利益面は、原材料の高値在庫の払出し、三島工場の新ガスエンジン稼働に伴う償却費の増加もあり、大幅減益。

○生活商品事業…売上高は前年同期比△2.5％、営業利益は同＋114.5％。ペーパータオルは、価格修正を進めた結果、販売量は減少。トイレットペーパーは、販売価格は値上げ効果で増えたものの販売量は減少。

■巴川製紙所

〔第1四半期〕

　売上高 7,658 （△7.1％）

　営業益 △26 〈260〉

　経常益 △22 〈285〉

　当期益 △97 〈99〉

〔通期予想〕

　売上高 33,500 （＋0.2％）

　営業益   550 （△18.2％）

　経常益   550 （△18.4％）

　当期益   300 〈△2,032〉

　トナー事業は、数量的には前年同期とほぼ同水準を維持したものの、前期4Qでの前倒し受注の反動や中国市場での価格競争激化、新製品立上げの遅れから、販売金額は減少。また、電子材料事業も長期化する半導体市場の需給調整の影響を受けたことから、売上高は前年同期を下回った。利益面では、減収影響に加えて前期の積極投資による固定費増加もあり、損失計上となった。

　主なセグメントの業績（前年同期比）は、プラスチック材料加工事業が売上高△7.5％、セグメント利益△86.0％、製紙・塗工紙関連事業は売上高△6.6％、セグメント損益は△98百万円（前年同期は△105百万円）。

　通期予想は、5月に発表した前回予想を下方修正している。修正額（単位100万円）は、売上高△1,000、営業益△250、経常益△250、当期益△350。前記したトナー事業や電子材料事業の劣勢を挽回するには至らないとの見通しから、下方修正した。

 

株式会社　紙業タイムス社　「Future9/2号」より