日本製紙クレシアは、『クリネックス』および『スコッティ』ブランドで販売しているトイレットロールのうち、定番品の12ロール入りを3月末で生産終了し、全トイレットロールを長尺タイプへシフトした。
同社は、1996年に初めて“8ロールで12ロール分”の長尺タイプを発売し、その後、2007年に6ロールで12ロール分の「2倍巻き」を、16年には4ロールで12ロール分の「3倍巻き」を発売し、長尺タイプのラインアップを拡大してきた。
同社が長尺タイプに注力する背景には物流の問題がある。eコマースの普及により、配送量の劇的な増加と配送料の高騰に加え、ドライバー不足や高齢化が加速し、物流業界が抱える問題は年々深刻化している。特に家庭紙は、ドライバーが手積み手降ろし作業を行っており、重労働と長い拘束時間が問題となっている。また、これまでのトイレットロールは、嵩高で軽量なうえ単価も安いなど、ロスの多い設計であることから、“家庭紙は空気を運ぶようなもの”とも言われてきた。
長尺タイプはパッケージがコンパクトなため、積載効率が向上して物流コストを低減できるほか、輸送時のCO2排出量削減にも貢献する。サステナブル経営推進機構の算定によると、同社の『スコッティ フラワーパック 3倍長持ちロール』は、輸送に係るCO2排出量を、従来品(12ロール)に比べ約41%削減できるという。
また長尺タイプは、物流課題の解決だけでなく、消費者にとっても、持ち帰りに便利で収納スペースや取替え回数を減らせるなどのメリットがある。日本製紙クレシアはこうした長尺タイプを、消費者+流通+メーカー+環境によい“四方よしの長持ちロール”として、トイレットロールのスタンダード品にしていく。
株式会社 紙業タイムス社 「Future4/19号」より