防衛装備庁は、安全保障技術研究推進制度の2019年度公募を、5月末まで受け付けている。
同制度は、「新規性・独創性または革新性を有する基礎研究を育成すること」を目的としており、公募対象は、防衛装備品そのものの研究開発ではなく、先進的な民生技術についての基礎研究。研究成果については、広く民生分野で活用されることを期待している。今年度からは、その研究テーマに初めて、製紙業界にも関連の深い、CNFなどを想定した繊維材料が含まれた。
同制度が募集する研究は、大規模課題と小規模課題に分かれ、「タイプS」と呼ばれる大規模課題は最大5年の複数年度契約で、付与される研究費の上限は1件当たり20億円。また1~3年の各年度ごとに委託契約となる小規模課題は、さらに「タイプA」と「タイプC」に分かれており、年間当たり研究費として前者で最大3,900万円、後者で同1,300万円が付与される。
2019年度に募集する研究テーマとしては29件が挙がっており、このうち、繊維材料が含まれる研究テーマは「先進的な耐衝撃・衝撃緩和材料に関する基礎研究」で、前出のタイプS、A、Cがいずれも対象になる。「期待される研究課題の一例」としては、
○計算機を用いた、軽量・高硬度・高靭性・高弾性材料の探索と特性予測
○繊維材料のひずみ速度に対する強度上昇の起源と、最適設計手法(高速衝撃に対する強度、弾性、伸び率の向上など)
○可撓性と耐衝撃性を兼ね備えたダイラタンシー材料と繊維の複合材料の耐衝撃特性向上
○衝撃速度により物性値が大きく変化する材料の原理解明と設計手法
が挙がっている。
同制度の研究テーマはこれまで、素材面では金属関連の募集が多く、繊維材料が盛り込まれるのは今回が初めて。新規性のあるCNFなどは、既存素材に代わる新素材として同庁も期待を寄せている。公募は3月から始まっており、受付期間は5月31日(金)正午まで。詳しい募集要領、応募方法は同庁のWebサイト(https://www.mod.go.jp/atla/funding.html)に掲載されている。
株式会社 紙業タイムス社 「Future5/6号」より