古河電工はこのほど、強度と耐衝撃性を両立したセルロース繊維強化樹脂『CELRe(セルレ)』を開発した。
『CELRe』は、同社が光ファイバケーブルや電力ケーブルの製造などで培った樹脂混練技術を活かし、パルプと熱可塑性樹脂を二軸押出機で混練、ワンステップでマイクロオーダーのセルロース繊維(約300~700μm)を樹脂中に高分散させる技術を確立して開発された。従来、セルロース繊維は樹脂への分散が難しく、ナノ化や疎水化のプロセスを経るため製造コストが高かったが、CELReではナノ化や疎水化を経由せず、セルロース繊維を熱可塑性樹脂に直接分散する独自プロセスにより、低コストで製造できる。
マイクロオーダーのセルロース繊維を分散したCELReは、ベース樹脂(ポリプロピレン)より弾性率が向上し、熱膨張率が低下。粉砕・成形を繰り返しても強度低下が少なく(4回で10%未満)、マテリアルリサイクルが可能。また、従来のプラスチック成形機・金型で射出成形ができる。
製品ラインアップは、セルロース繊維を51%含有するCELRe KCPグレードのほか、強度と耐衝撃性を両立したCELRe DFグレードを揃え、耐衝撃性を改善したDFグレードは、従来のセルロース繊維強化樹脂が適用できなかった製品への適用が期待される。なおKCPグレードは、日本有機資源協会認定の「バイオマスマーク50」を取得済。
株式会社 紙業タイムス社 「Future7/3号」より