＝2024年3月期③＝
前号に続き、紙パ関連各社の2024年3月期決算（23年4月～24年3月）を紹介する。以下、連結ベース、単位100万円、％表記は対前期比、〈 〉内は前期の実績値。
【紙流通】
■KPPグループホールディングス
〔2024年3月期〕
売上高 644,435 （△2.3％）
営業益 15,819 （△22.5％）
経常益 12,475 （△32.2％）
当期益 10,613 （△32.5％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 655,000 （＋1.6％）
営業益 16,500 （＋4.3％）
経常益 13,500 （＋8.2％）
当期益 11,000 （＋3.6％）
○北東アジア…売上高△0.3％、営業利益△0.3％。国内グラフィック用紙は、販売量は減少したが価格修正後の市況が維持され増収増益。段ボール原紙は販売量が減少して減収。トレーディングカードなどの高級板紙は堅調に推移し、増収。古紙は販売量・売上高・利益ともに減少。市販パルプも減益。中国は売上高・利益ともに低調。
○欧州／米州…売上高△5.9％、営業利益△36.3％。ペーパー事業は、市況が軟化したほかアジアの安価品が流入し価格下落が続いた。過剰在庫削減の動きが年後半まで見られ、販売量・売上高・利益ともに減少。パッケージング事業は、インフレと高金利による消費低迷で減収となったが利益は改善傾向。
○アジアパシフィック…売上高＋6.7％、営業利益△1.6％。オセアニアでは、商業印刷事業が売上高・利益ともに伸長し、パッケージ事業は減収だったが利益は増加。東南アジア・南アジア地域は、インデントビジネスの好調で輸出拡大したが、ストックビジネスは軟調。
○不動産賃貸事業…売上高＋25.1％、営業利益＋401.3％。
2025年3月期は、パッケージング事業、ビジュアルコミュニケーション事業で買収した企業の業績が寄与し、ペーパー事業の需要減をカバーする見込み。ペーパー事業は販売価格維持により一定の利益は確保すると想定。
■日本紙パルプ商事
〔2024年3月期〕
売上収益 534,230 （△2.0％）
営業益 17,403 （△14.1％）
経常益 16,753 （△21.1％）
当期益 10,357 （△59.2％）
〔2025年3月期予想〕
営業益 18,000 （＋3.4％）
経常益 18,000 （＋7.4％）
当期益 10,000 （△3.4％）
当期益の減益幅が大きいのは、前期には固定資産の売却益があったことなどによる。
○国内卸売…売上収益＋7.0％、経常利益＋24.5％。紙・板紙ともに販売量は減少したが、価格修正により増収増益。機能材料製品は需要の回復が見られた。
○海外卸売…売上収益△7.7％、経常利益△72.3％。米国、英国、豪州は、需要減少や得意先の在庫調整により販売量・金額ともに減少。日本からの輸出も中国や東南アジアの需要減や価格競争により販売量・金額ともに減少。利益面は、人件費や支払利息の増加も影響。
○製紙加工…売上収益＋2.3％、経常利益＋94.9％。段ボール事業、再生家庭紙事業ともに販売量は減少したが、価格修正と生産効率向上への取組みにより増収増益。
○環境原材料…売上収益△11.7％、経常利益△13.7％。国内、米国ともに古紙販売量が減少したほか、米国では販売価格も下落。
○不動産賃貸…売上収益△2.6％、経常利益＋9.5％。
2025年3月期は、国内の紙需要は縮小を見込むが、板紙は消費マインドの改善や自動車関連向けなどの需要回復を期待。海外は、M&Aを通じたシェア拡大や高付加価値製品の販売増加を見込む。
■平和紙業
〔2024年3月期〕
売上高 16,124 （＋0.3％）
営業益 158 （＋14.3％）
経常益 221 （＋15.5％）
当期益 136 （△84.4％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 16,800 （＋4.2％）
営業益 165 （＋4.4％）
経常益 235 （＋5.9％）
当期益 143 （＋4.9％）
販売量は減少したが、販売単価上昇や販売体制の強化により、売上高は微増。当期益の大幅減は、前期には固定資産売却益11億33百万円があったため。
○和洋紙卸売業…構造的な需要減と価格改定の影響で販売量は減少したが、観光イベントなどの緩やかな回復でファインボードと高級印刷紙が堅調に推移し、売上高は＋0.3％、営業利益は＋13.8％。品種別の売上高は次の通り。ファンシーペーパーは商業印刷物や紙袋用途が減少して△1.8％。ファインボードは菓子食品・化粧品などの高級パッケージ向けが回復し＋4.2％。高級印刷紙は商印用途が安定し、出版物や紙製品用途が増加して＋3.4％。ベーシックペーパーは商業印刷物、東アジア向けが減少して△3.3％。技術紙は偽造防止用途や耐水撥水性機能紙が減少し△1.4％。その他（家庭紙、紙加工品、製紙関連資材等）は△11.1％。
○不動産賃貸業…売上高＋1.7％、営業利益＋2.8％。
2025年3月期は、高級パッケージ用途や機能紙分野への販売強化とともに、社会課題に対応する新商材の開発や提案を推進し、新規需要創出と獲得に注力する。
【紙加工】
■トーモク
〔2024年3月期〕
売上高 211,526 （△0.6％）
営業益 8,057 （＋8.1％）
経常益 8,614 （＋7.9％）
当期益 5,308 （＋1.1％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 226,000 （＋6.8％）
営業益 10,300 （＋27.8％）
経常益 10,400 （＋20.7％）
当期益 7,000 （＋31.9％）
■ナカバヤシ
〔2024年3月期〕
売上高 61,043 （△0.9％）
営業益 462 （＋1.4％）
経常益 1,003 （＋6.9％）
当期益 876 〈△666〉
〔2025年3月期予想〕
売上高 61,500 （＋0.7％）
営業益 1,845 （＋298.9％）
経常益 2,460 （＋145.1％）
当期益 1,540 （＋75.7％）
■スーパーバッグ
〔2024年3月期〕
売上高 26,837 （＋6.3％）
営業益 1,034 （＋129.5％）
経常益 1,076 （＋127.8％）
当期益 866 （＋82.8％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 27,700 （＋3.2％）
営業益 1,070 （＋3.5％）
経常益 1,120 （＋4.1％）
当期益 870 （＋0.5％）
■大石産業
〔2024年3月期〕
売上高 21,964 （＋0.8％）
営業益 1,086 （△3.5％）
経常益 1,347 （△3.6％）
当期益 1,065 （＋18.0％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 23,450 （＋6.8％）
営業益 1,170 （＋7.7％）
経常益 1,400 （＋3.9％）
当期益 1,025 （△3.8％）
■昭和パックス
〔2024年3月期〕
売上高 21,651 （△2.8％）
営業益 1,021 （△8.4％）
経常益 1,248 （△7.5％）
当期益 962 （＋1.5％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 23,500 （＋8.5％）
営業益 1,180 （＋15.5％）
経常益 1,370 （＋9.7％）
当期益 1,130 （＋17.4％）
■ニッポン高度紙工業
〔2024年3月期〕
売上高 14,828 （△15.7％）
営業益 1,719 （△48.3％）
経常益 2,021 （△42.8％）
当期益 1,479 （△40.1％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 16,000 （＋7.9％）
営業益 2,700 （＋57.0％）
経常益 2,700 （＋33.6％）
当期益 1,900 （＋28.4％）
■野崎印刷紙業
〔2024年3月期〕
売上高 14,157 （＋5.3％）
営業益 621 （＋86.4％）
経常益 667 （＋78.2％）
当期益 573 （＋126.3％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 14,700 （＋3.8％）
営業益 630 （＋1.4％）
経常益 679 （＋1.7％）
当期益 467 （△18.5％）
■ハビックス
〔2024年3月期〕
売上高 13,204 （＋9.3％）
営業益 755 〈△92〉
経常益 882 〈△25〉
当期益 674 〈52〉
〔2025年3月期予想〕
売上高 13,500 （＋2.2％）
営業益 550 （△27.2％）
経常益 500 （△43.3％）
当期益 350 （△48.1％）
■中央紙器工業
〔2024年3月期〕
売上高 11,711 （＋3.3％）
営業益 583 （△8.3％）
経常益 644 （△11.7％）
当期益 640 （＋29.2％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 12,200 （＋4.2％）
営業益 550 （△5.7％）
経常益 600 （△6.9％）
当期益 420 （△34.4％）
■大村紙業（非連結）
〔2024年3月期〕
売上高 5,736 （＋5.8％）
営業益 341 （＋27.2％）
経常益 358 （＋32.0％）
当期益 248 （＋845.4％）
〔2025年3月期予想〕
売上高 5,885 （＋2.6％）
営業益 372 （＋9.0％）
経常益 372 （＋4.1％）
当期益 260 （＋5.0％）
株式会社 紙業タイムス社 「Future6/17号」より
