王子ホールディングスは4月11日、フィンランドの包装資材加工会社「Walki Holding Oy」の買収を完了し、完全子会社とした。買収後は、Walki社の社名とブランドは維持しつつ、現CEOであるLeif Frilund氏を含む現経営層に加え、王子グループから新たに役員を派遣する。

　Walki社はサステナブル包装資材に特化した加工会社で、主力製品はリサイクル性とバリア性を兼ね備えた紙ベースの環境配慮型包装資材。環境規制が進む欧州市場で高い収益性を誇っている。王子は今回の買収により、川上（原材料）から川下（包材加工）まで一気通貫で製品を提供する事業構造を確立する。また、先行するEU規制に適合したWalki社の原紙加工技術と製造ノウハウを王子のパッケージング事業に組み込み、現在の主たる事業拠点である東南アジア、インド、オセアニア市場でも、環境配慮型包装資材の技術開発、総合提案力を強化する考え。これにより、環境配慮型包装資材のグローバルサプライヤーとしてプレゼンスを高めていく。

　王子グループは、2022年度から24年度の3年間で4,000億円の戦略投資を実行し、収益性・成長性の高い事業と環境に配慮した事業へ投資を集中させる、事業ポートフォリオの転換を進めている。今回の買収はこの戦略に基づくもので、Walki社の企業価値は6億4,000万ユーロとして買収金額を算定した。

【Walki社の概要】▽所在地：フィンランド・エスポー（Espoo）▽設立：1930年▽製造拠点：8ヵ国17工場▽事業内容：原紙への塗工、ラミネート（プラスチック／アルミ）、印刷、包装資材の製造・販売事業ほか▽売上高：7億500万ユーロ（2022年12月期）▽従業員：約1,700名

【Walki社の3事業】①消費者向けパッケージ：食品・日用品向けのリサイクル可能なバリア性紙包装資材　②産業用パッケージ：機能性段ボールなどの産業製品向け環境配慮型紙包装　③特殊品：建設産業向け高性能断熱材、自動車向け内装材など

株式会社　紙業タイムス社　「Future5/13号」より